自動運転へ官民一丸 <産経新聞 2017/2/17>

未来投資会議 首相「移動弱者32年までに解消」


政府は無人自動走行を「第4次産業革命」の柱に位置付けている。今後決める制度の整備方針などは、6月にもまとめる成長戦略に反映する。会議では有人の先頭車両が、無人で自動走行する2台以上のトラッ クを牽引する「隊列走行」 を34年度に実現するほか、32年度に無人バス・タクシーの商業化を目指す方針を示した。

安倍首相は29年度に、これらの公道実証を行うよう指示。隊列走行は新東名高速道路で、バス・タクシーは公募などで選ぶ全国10カ所で行うとした。

大綱は、国土交通省や経済産業省、警察庁といった関係省庁が検討を進め、政府のIT総合戦略本部が取りまとめる。

環境整備 特区も活用

人が運転に関与しない完全自動運転の実現に向け、未来投資会議は、新東名高速道路での隊列走行の実証実験など、踏み込んだ工程表を示した。一方で、自動運転の実現には、安全基準に関する規定や無人走行車が事故を起こした場合の責任など関連法の改正も必要となる。政府は海外との技術競争激化をにらみ、制度整備と技術革新の両面で、官民が連携した取り組みを推進する考えだ。安倍晋三首相は自動運転具体化の検討を平成27年11月の「未来投資に向けた官民対話」で指示していた。関係省庁による検討を経て、今回の会議で、政府全体として初めて基本戦略をまとめる方針などを確認した。

今回、工程表に明記した公道実証などの方針は、民間企業が知恵を絞った最先端技術の結集だ。トラックの隊列走行はヤマト運輸が掲げた構想だ。先頭車両をドライバーが運転し、2 台目以降の後続車は電子センサーで前の車を追尾する。物流業界で深刻化するドライバー不足を解消すると期待される。また、無人自動走行のバスやタクシーはディー・エヌ・エー(DeNA)が提案した。同社は過去にも、公道で自動運転タクシーの実証実験を行っている。政府は民間の知恵を最大限にいかし、事業化に向けた制度整備を進める。

もっとも、国内普及に関しては課題も少なくない。道交法など交通関連法の見直しや、自動運転車両の安全基準の在り方、保険を含む責任関係の明確化が主な論点になる。

石原伸晃経済再生担当相は会見で「道交法の問題や(事故時の)責任問題など、いろいろ法律をいじらなければならない」と述べた。政府は今後策定する大綱を踏まえて、30年にも関連法の改正案を作成し、31年の通常国会での成立を目指す。

安倍首相は国家戦略特区の仕組みも活用して、必要な制度やインフラの整備を進めるよう指示した。自動運転をめぐっては、欧米も実用化を急いでいる。政府は将来的な技術輸 出なども視野に、オールジャパンで開発を急ぐ。(山口暢彦)