トピックス

現在、参議院選挙の教訓を活かそう、地域間の格差を是正しようという大義名分の下に、東京都など大都市から地方へ税収を移す案が浮上しています。東京都が東京都だけで存在できるはずもない以上、東京都が東京都だけのためでなく、日本のために何ができるかと言う視点を持つことは大切です。

ただし、今回の案が財政の豊かな都市部から召し上げて、その分を地方にまわそうと言う安易な発想だとしたら、そこからは何も生まれません。私は東京都杉並区から選出されています。だからこそ、都市と地方の不毛の対立をあおることには賛成できません。

現在、地方が非常に厳しい財政状況にあって、地域独自の事業を行おうとしても、地域の負担分が払えず、活性化策をとろうにも取れないことは事実です。その大きな原因は、もちろん都市部への一極集中という原因もありますが、国が財政再建のために、この3年間で臨時財政対策債を含め5・1兆円もの地方交付税を削減したことが大きな理由です。地方財政の再建を言うのであれば、それを一部でも復元するなどの緊急措置を、まず国自身がすることが先決でしょう。

東京都は国に先駆けて行財政改革に取り組み、平成元年度から18年度にかけて、一般行政部門の職員を4割以上も削減してきました。このような努力が認められず、その成果が一方的に国に召し上げられるのでは、行革をしようという自治体はなくなります。

さらに東京には東京ならではの支出があります。東京のインフラ整備には莫大な資金が必要です。東京はこの10年間で7・3兆円以上の自己資金を投資し、都市基盤の整備を進めています。それでも、東京の環状道路の整備率はわずか35%。ロンドンの100%、パリの84%、北京の87%と比べ極めて低い水準にとどまっています。また、東京にある1200強の橋の5割、約600橋が建設から50年を超え、架け替えには1・5兆もの費用がかかります。また、朝夕のピーク時に1時間に50分以上閉まっている「開かずの踏切」の半分、約300箇所は東京に存在し、3000億円もの経済損失を与えています。このように、都市基盤の整備はまだまだ道半ばです。

また、昼間だけ東京で暮らす人、東京への流入人口は約370万人。横浜市が丸ごと昼間だけ東京に引っ越していることになります。総理や閣僚を警備する警護官が東京の警察に所属していることはあまり知られていませんが、他にも皇居・皇族の警衛、駐日大使館など外国公館の警備、国賓、公賓の警護など、首都の安全・安心の確保には多額の費用がかかります。

私は決して、東京が良ければそれで良いというつもりはありません。このせまい日本の中で、都市と地方はお互いに支えあい、補い合って生きています。都市は単独では存在できません。地方も同じです。都市は資源を、エネルギーを、水を地方に依存しています。地方は市場として、情報の集積地として、都会を必要としています。また、都市がフロントランナーとして国際競争に勝ち抜いていかなければ、日本の地位は低下し、経済の活性化はのぞむべくもありません。都市と地方は切っても切れない、まさに共生関係にあるのです。

日本は人口が減少するという、未曾有の事態に直面しています。それが深刻なのは、地方部です。いくつかの集落は「限界集落」と称され消滅の危機にあります。また、2002年以後、県民所得でみる地域間の所得格差は拡大し、直近の有効求人倍率は青森、高知、沖縄で0.5を下回るなど地方圏でとりわけ厳しい雇用状況です。都市の住民と地方の住民とが、このような地方部の疲弊や将来への不安の解決のために、一体となって向かっていくことが、問題の解決には不可欠です。都市と地方とが不毛な対立を繰り返すのではなく、都市と地方の共生関係、互恵関係を発展させなければ、日本のさらなる成長と豊かさは実現できないのです。

▲ このページのトップへ戻る