トピックス

いま、小泉内閣では内閣をあげて、日本に来る外国人を2010年までに倍増しようという、「ようこそ!ジャパン・キャンペーン」に取り組んでいます。

現在、日本に来る外国人のベストファイブは、韓国、台湾、アメリカ、中国、香港。日本に来る外国人を倍増させるには、まず、この5つの国に対するキャンペーンが大切です。特に5年連続トップの韓国は最重点の一つ。おりしも、来年は日韓国交正常化40周年にもあたります。昨年6月に行われた日韓首脳会談では、2005年を日韓友情年とすることが合意されました。そこで、私と韓国のチョン・ドンチェ観光大臣との間では、2005年を日韓共同訪問の年と名づけ、様々な交流の行事を実施することとしました。その第一弾として日本からは木村佳乃さん、韓国からは冬のソナタのチェ・ジウさんを日韓共同訪問年広報大使に任命し、来年一年間両国の交流促進にご協力いただくことになりました。

現在、日本を訪れる外国人観光客は年間524万人(2002年現在)。これは世界中で33番目にしかすぎません。日本は本来、観光資源にあふれた国です。京都や奈良に代表される伝統・文化、秋葉原・日本橋にあふれるハイテクの製品、北海道の雄大なスキー場、日本中に点在する温泉、そして、四季の彩りにあふれた日本食。いまや「スシ」と「サケ」は世界共通語です。外国に行けば、日本料理店は日本人ではなく、外国のお客様で一杯です。まさに衣・食・住の三拍子そろった魅力にあふれた日本、そんな日本を訪れる人たちが世界で33番目なのは、一体なぜなのでしょうか。

これまで、日本では観光を産業ととらえ、どうやって盛んにするかを計画だてて考えてこなかったのではないでしょうか。美しい自然や伝統があれば、お客さんは黙っていても来てくれるはずだ。そんな気持ちがあったのではないでしょうか。しかし、世界中の国々は、競って自分たちの国に観光客を誘致しています。観光は単なるレジャーでなく、れっきとした産業だからです。例えば、世界一の観光大国・フランスには、年間7千万人を超える外国人観光客が訪れます。そして、年間3兆6千億円ものお金がフランスで消費されます。この額は、なんと、わが国の半導体産業が一年間に輸出で稼ぐ額の合計にほぼ匹敵します。半導体産業がこれだけの外貨を稼ぐためには、大変な費用が資されています。設備投資、人件費、研究開発費。もし、観光産業がそれに匹敵するのなら、同じ規模の投資がされてもおかしくありません。なのに、日本政府が観光産業にかけるお金は、年間わずか60億円。農業予算のわずか500分の1とお寒い限りです。

もちろんお金をかければよいというものではありません。日本に来てくださいという宣伝・広報活動。来ていただいたお客様に気持ちよく過ごしていただくためのインフラ整備。そして何より「ようこそ」というおもてなしの心。ある大使に「日本人は外国人に親切だが、日本という国は外国人に不親切だ」といわれたことがあります。まさにその通りです。これまで、日本は観光に力を入れてこなかった。言葉を変えれば、日本に来ていただいた外国からのお客様をおもてなしするための、ハードにも、ソフトにも欠けていた。だからこそいま「ようこそ!ジャパン」なのです。観光は裾野が広く、関係者も多くが広いため、観光を担当する国土交通省だけでは限界があります。だからこそ、内閣が一丸となって、2010年に外国からの旅行客を倍増し、1000万人にしようという目標に取り組んでいるのです。

なにはさておき、まずは宣伝活動です。これまで日本のイメージというのは、「おいしい日本食や伝統・文化は素晴らしくても、リラックスできない国」というものです。世界中どこに言っても同じことを言われます。これを払拭しなければいけません。そこで、初代・観光立国担当大臣として、私が先頭にたって「トップセールス」を開始。英・韓・中の三ヶ国語のプロモーションビデオを製作し、各国のテレビ、国際線の機内、また大リーグの試合の合間に球場の大スクリーンで放映するなどして、「ようこそ、ジャパン!」キャンペーンを展開しています。

来客を倍増させるには、現地での宣伝活動が大切です。そこで、先ほどの訪日ベストファイブの五ヶ国に加え、イギリス・フランス・ドイツに「ようこそ!ジャパン・キャンペーン」現地推進本部を立ち上げ、現地の大使や旅行業者の方々と、一人でも多くの観光客に日本に来てもらうための活動を展開しています。

そのうち、パリとベルリンにおいては、日本を紹介する「観光の夕べ」を開催して、現地の方にも大好評を頂きました。これまで行われていた日本を紹介するイベントは、良くも悪くもいわゆる「お役所仕事」でした。役所の幹部が挨拶し、ビデオを流し、パンフレットを並べて説明するというスタイル。今回はとにかく、来ていただいた方に五感を通じて「日本」を感じてもらおうということをテーマに、外務省と民間の方にも最大限のご協力を頂き、全く新しいスタイルのイベントを目指しました。場所は現地の日本大使公邸。入り口でお客様をお迎えするのは、和服姿の青年と、尺八の演奏。公邸の中では琴の三重奏が日本の童謡を奏でます。

公邸の中庭では、和弓の実射。24メートル先の的をめがけて、和服姿のフランス人が次々に矢を放ちます。続いては、剣道の試合が行われ、気合の入った掛け声とともに竹刀のなる音が響きます。少林寺拳法の型も披露され、観客の大きな拍手を浴びました。武道に続いては、新しい日本の美。コシノ・ジュンコさんにご協力を頂き、琴の音に乗って、新しい日本の美を表現したファッションショーが行われました。食事はもちろん、日本食。それも、全て日本の漆塗りの器に入り、美しくレイアウトされたその模様は、まさに食のファッションショー。私と妻は和服で皆さんをお迎えし、外国では珍しい鏡割りのイベントをゲストと一緒に行い、さらには色紙を書いてお客様にプレゼントしました。

もちろん、宣伝活動だけで外国からのお客様が増えるわけではありません。先ほどから申し上げているように、国内のインフラの整備も必要となります。

例えば、街中の案内の表示。ローマ字と日本語だけでなく、韓国語や中国語による表示も必要です。また現在、日本中でバラバラに行われている表示の仕方やシンボルマークなどの統一も必要でしょう。また東京メトロでは民営化を契機に、駅のナンバリングを始めました。非常に正確で安いけれど、複雑で外国の方には使いにくいといわれた日本の鉄道も、このような表示があれば、簡単に使えるようになります。例えば国会議事堂から浅草まで行くのは「Mラインの17駅で乗り、M16駅でGラインに乗り換え、G19駅で降りる」といった具合です。

また、高くて、忙しいというのが日本のイメージ。実際に物価を比較すると、日本の宿泊費や食費は、観光地としては世界でも決して高いといえませんが、それが知られていないのが現状です。和風の旅館でも、食事を出さない代わりに安い値段で泊まれる宿。外国語の分かる人が経営するリーズナブルなホテル。安くておいしい日本食など様々な情報を海外に向けて発信していく必要があります。

国土交通省のホームページでは、例えば5000円以下で泊まれる宿を1000ヶ所以上も紹介し、好評を頂いています。東京ではボランティアのガイドも相当増えていますし、外国人向けの無料観光案内所ももう100ヶ所を数えています。さらに、もちろん日本の観光地がそれぞれ、自分の魅力を発見し磨き上げる努力が大切なことは言うまでもありません。既に日本各地には、自分の故郷の新しい魅力を発見しそれを観光に生かしている、観光の達人がたくさんいらっしゃいます。このような「観光カリスマ」の努力に、私たちが学ぶべきところはたくさんあります。自分たちの故郷の魅力を自分たちで発見し、自らが楽しむこと。日本の魅力の発信はそこから始まります。

中国や韓国の方にとっては、日本を訪れるのに最も大きな問題はビザの取得の問題。わが国における外国人の不法就労問題や外国人による犯罪の増加などを考えれば、確かに慎重を期すべきではありますが、修学旅行の学生や団体の観光旅行に限ってビザの取得を免除するなどの方向は固まりつつあります。さらに、国の玄関とも言える国際空港の問題。既に皆さんもご承知の通り、羽田空港から韓国金浦空港への直行便も実現しました。さらに羽田の四本目の滑走路の建設も具体化し、近距離を中心にした国際便の就航も間近に迫ります。成田空港も民営化し、更なる顧客サービスの向上を目指します。また、中部空港、神戸空港など地方の空港の充実にも目を見張るものがあります。

このように、観光の振興とは、決して一筋縄で行くものではありません。外国における広報宣伝活動によって、日本におけるハードソフト両面のインフラの整備、そして何より日本人の「ようこそ」というおもてなしの心。それらが一体となった時に初めて日本に来る外国からのお客様が1000万人という目標が達成できるのです。

「ようこそ! ジャパン」

▲ このページのトップへ戻る