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財形
平成11年7月号
フェアな雇用環境と
年金制度を目指して
石原伸晃衆議院議員に聞く
財形インタビュー
衆議院議員・石原伸晃氏
「国民の誰もが公平な社会保障を受けられる
フェアな年金制度と雇用環境を目指す」
石原伸晃議員は今年度の税制改正にあたっては公平・公正・シンプルな税制を目指したという。自民党税制調査会幹事として政策新人類とも呼ばれる同代議士は国会論戦でも常に最前線に立っている。
厳しい経済・労働環境について、また折りからの確定拠出型年金の検討状況などを聞いた。
(六月九日 於・衆議院議員会館)
いかに労働移動を
スムーズに行うことができるかがポイント
--- 先生もサラリーマンの経験をお持ちですが、財形貯蓄は?
石原: 実は私が入社したとさには会社に財形制度がまだなくて、財形貯蓄はでさなかったんですよ。
--- 意外なお話です。
石原: そうでしょう。家を買うのにまず財形と思っていましたから、入社後がっくりした記憶があるんですよ。何年か経って導入されたようなんですが、結局、私は財形貯蓄の恩恵にはあずかっていないんです。
--- 財形制度の場合、制度の仕組み上、企業が採用しないとできないというのは反面、ネックにもなります。
石原: そうですね。それは今、導入へ向けて検討を進めている確定拠出型年金でも同じです。ですから誰もが公平、公正に制度を利用でさるようにと考えています。
確定拠出型年金はアメリカで一九八二年に導入されてから十八年が経ちましたが、いまやっと確定給付型年金との割合が半々くらいになっています。将来的には、アメリカを見ても分かるように、四〇一k、確定拠出型年金に収斂されていくのかなという気がしています。まあ、アメリカでは十八年でフィフティフィフティですから、日本では何十年かかるか分かりませんが・・・。
その四〇一kの方にシフトしていくためにも個人の確定拠出みたいなものを入れるかどうかで去年から多角的な議論をしてさましたが、結局、個人の確定拠出型のものも認めるけれども、その指定団体は例えば年金基金連合会みたいなものとするというようなことで方向性は出たものと考えています。
労働者にすれば、ちゃんと貰えたほうがいいに決まっていますが、経営者にとっては負担が大きすぎるという。こうした二律背反の問題を解決するためにも四〇一k、確定拠出型年金制度というものが出てさたんだと理解しています。
--- 年金の問題もそうですが、現在の高い失業率も緊急の課題となっています。
石原: 日本では失業率が五パーセントを超えたということで大問題になっていますが、アメリカでは雇用情勢がいいとはいっても四パーセント以上です。構造改革を行う上で避けられない問題です。
よくニュージーランドの話が出ますが、ニュージーランドでは戦後五十数年間、失業率が一パーセント台だったわけです。ところが、構造改革を始めてから後は、政権がまったく百八十度替わっても引さ続き構造改革を行ったわけです。それでどうなったかというと、失業率は最高で一三・八パーセントまで上昇しました。いまでも八パーセント台です。
日本では、製造業を見ると、ホワイトカラーの層が過剰人員なんだと思います。そこからどういう風にサービス業のところに労働移動をスムーズに行うことができるか、余剰雇用を新しいサービス業で吸収できるか、というのがこれからの雇用問題のポイントだと思います。
余剰雇用を新産業で吸収できるか
--- 雇用形態にもさまざまな変化が起きていますが。
石原: 終身雇用制度の崩壊というものは、手に職がなければこれから生さていけないということに繋ります。ホワイトカラー受難の時代がしばらく続くんじゃないかという気がします。
私は自分の出た大学の運動部で総監督をしていますが、よく学生たちには、終身雇欄の時代はもう終わった。これからは、企業をこちらが選別しなけりやあいけない時代に入ったんだ−と話しています。
このあいだ久しぶりにあるエアラインに来って東京に戻ってさました。その時、男性チーフパーサーの方のお話を聞いていたら、五十歳で賃金が一割カットだそうです。それでもまだ、職があるという方が望ましいとおっしゃってました。そのことばにすべてが表れているという感じがしました。
今度の確定拠出型年金でも、なぜポータビリティを重要視したかというと、年金を持って職業を変えられるようにするということだと思っています。失業率はこれからも高くならざるを得ないでしょう。構造改革を進めれば進めるほど、その問題は避けては通れないと思います。
企業が年俸制をとるというのはある意味で終身雇用ではないということをやろうとしていることですし、契約社員というのは外注 - アウトソーシングの一貫ですから、これも国際競争力という覿点から考えたらとらざるを得ない選択と思います。そうしませんとグローバルな競争に勝てないわけです。極端な例をいえば、アメリカの大さな企業でも、社内重役が二人くらいであとは全部、社外重役という例もありますから。
小さな政府 ナショナル・ミニマムと
自助努力への本質的な意識改革を
石原: 私は勤労者への福祉という問題も本質的な意識改革が必要だと考えています。
やはり、政府はなるべく小さくして、福祉も自助努力型に転換していかなければならないと思います。施して貰うという意識じゃなくて、ナショナルミニマムは国が担当するけれども、それ以上の部分は自分でやっていくという、そういう世の中にしない限り、どこの財政もパンクしてしまうところまできていると思います。
--- 自己責任原則に基づく自助努力が必要と・・・・・
石原: 日本の年金制度というのは、公的年金、私的年金を含めて勤労世帯と自営業者では制度がアンフェアですね。これを将来的には公的年令は、厚生年金も含めてナショナルミニマムを負担するものに統合して、その上の二階建て部分については自助努力で補填していくという形にするべさだと考えています。
今は、四階建てみたいなところもあれば、三階建てもあり、二階建てもあるわけですけれども、これは将来的には国民がどんな仕事に従事しようが、同じ制度にしていくという方向性だけは確認しておかなくてはならない問題じゃないかと考えています。
ただ、現在の改革論議は、公的年金制度をはじめ、バラバラに考えられており、サラリーマンの専業主婦をどうするかといった問題もそのままになっていたり、問題がたくさんあるのにトータルに議論されていないところが大きな問題だと思います。
--- 中小企業にもフェアな制度であって欲しいとは思うのですが。
石原: 今度の四〇一kにしても中小企業では、企業拠出はなかなかできないでしょう。
そこで自営業者と同じような個人拠出になるわけですが、企業型の確定拠出型年金を企業が折半で出さなければ作れないというのでは、制度論として欠落しているような気がします。
中小企業では、景気がこれから上向いてくるとか、業績が良くなる予兆みたいなものはむしろ大企業よりもよく分かりますから、企業としても、(拠出金を)今は払えないが、三年後には払えるというような企業もなかにはあるでしょう。そういう企業も参加でさるような方法も考えなければと思っています。
--- まさにフェアな制度に。
石原: 企業拠出がない場合、全員が個人拠出型に行かざるを得ないということも問題です。今は外賓を中心に、金融サービスは星の数ほどあります。それらを全部、自由にそれぞれの可能性をとれるみたいなことをしなきゃあいけないと考えます。今のままだとちょっと、それができなくなる。今度の確定拠出型年金のなかでは私はそういう危惧を持っています。
今度の四〇一kでは、確定給付型年金制度の問題点の解消というのが、ひとつの論点だったと思います。
中小企業の雇用者、従業者の私的年金制度の普及侭進というのは絶対に必要なことですし、言葉を変えれば、国民各界各階層がだれでも公平に私的老後保障を享受できる社会を実現していくということが大切だと思います。
--- さきほどの労働移動をスムーズに行うということも重要ですね。
石原: 製造業からサービス業に移る、あるいは企業を移るという労働移動を円滑に行うためにもポータビリティは大切です。また、企業の活力維持ということも重要でしょう。企業が倒れてしまったら雇用者は吐さ出されてしまうわけですから、労使合意による年金制度の選択肢は広げていくということも新会計基準が導入される観点からも大切だと思っています。
それともうひとつ忘れてはいけないのは、二〇二五年の高齢化のピークということでしょう。生産年齢人口の方が高齢者人口よりも少なくなるという世の中が来るわけですから、就労人口年齢構成の変化による公的年金制度のあり方には限界が来ている。それに対する備えということも私は必要ではないかと思います。
繰り返しになりますが、ナショナルミニマムは面倒を見るにしても、個人の自助努力という部分については、それをできる公的支援、制度は拡充していかなくてはならないと思います。さっと財形制度もそういうところに由来があると思います。そうした議論にはスポットライトが浴びていなくて、ともかくなにか一本にしていこうというような、そんなところはちょっと気になりますね。
個人のライフスタイルも多様化してさていますし、これだけ金融をめぐる状況が変化していますから、効率良く積立て運用がでさる制度を整備していかなくてはと思います。その一貫としてこの四〇一kという新しい制度の導入を目指しているところです。アメリカの株価を支えている一つの要因は、この四〇一kですからね。これからは、重要になっていくと思いますよ。
--- 勤労者にもフェアな制度であることを期待しております。ありがとうございました。
プロフィール
石原伸晃(いしはら・のぶてる)
| 昭和32年 | 4月19日生まれ(42歳) |
| 昭和53年 | ニューヨーク・工ルマイラ大学に留学(専攻・人間生態学) |
| 昭和56年 | 慶應義塾大学文学部卒業、都市社会学専攻 |
| 昭和56年 | 日本テレビ入社。政治部記者として、大成省・外務省・官邸等を担当 |
| 平成元年 | 日本テレビ退社 |
| 平成2年 | 第39回総選挙にて衆議院議員に初当選・大蔵委昌会筆頭理事、自由民主党財政部会長 |
| 平成8年 | 第41回総選挙にて東京8区(杉並区)より3期連続当選。通商産業政務次官 |
| 現 在 | 衆議院環境委員会理事・金融安定化に関する特別委員会理事・自由民主党金融再生トータルプラン推進特別調査会事務局長・自由民主党税制調査会理事・相続税等適正化推進議員連盟事務局長 |
確定拠出型年金制度の検討方向
自民党 “年金制度調査会私的年金等に関する小委員会”から
企業拠出型と個人拠出型
ポータビリティの確保と自営業者等への配慮
1 異体的な仕組み
(1)制度への加入・拠出
イ 企業が拠出する場合の企業の従業員

(加入)
- ○ 企業は、労使合意に基づいて制 度の内容を規定した確定拠出型年金規約を定め、主務大臣の承認を受ける。
- ○ 確定拠出型年金規約を定める企業の従業員は、すべて制度の加入者となる。
(拠出)
- ○ 企業は、確定拠出型年金規約に基づき、料金を拠出する。
- ○ 従業員も、企業の拠出に加え、自ら拠出することがでさる。この場合、料金額は従業員が任意に決定する。
- ○ 拠出には限度額を設ける。
- ○ 企業は、従業員の料金について従業員の給与から天引さし、企業の料金とともに、予め選定した資産管理機関(拠出された資産を企業財産から分離して保全する等のための機関として制度上位置付けるもの)に払い込む。
- ○ 資産残高は、個人ごとに記録管理される。この記録管理は運営管理機関(記録管理のほか個別の運用商品の提示や投資教育等を行うための機関として制度上位置付けるもの)が行う。
- ○ 加入者が離転職した場合には、離転職先の制度に加入者の年金資産を移管する。
ロ 企業が拠出しない場合の企業の従業員、自営業者等

(加入)
- ○ 企業が拠出しない場合の企業の従業員、自営業者等の加入の申込みの受付け、料金のとりまとめ等を行うための機関として、指定団体を制度上位置付ける。(指定団体は国民年金基金連合会とする。)
- ○ 指定団体は、確定拠出型年金規約を定め、主務大臣の承認を受ける。
- ○ 従業員、自営業者等は、指定団体に申請することにより、制度に加入する。ただし、国民年金の保険料を滞納している者等は、加入することがでさない。
(拠出)
- ○ 従業員、自営業者等は、料金額を任意に決定し、拠出する。
- ○ 拠出には限度額を設ける。
- ○ 企業の従業員については、企業は、従業員の料金について従業員の給与から天引きし、指定団体に払い込む。また、自営業者等については、自ら指定団体に料金を払い込む。
- ○ 個人ごとの資産残高は、運営管理機関によって記録管理されるとともに、加入者が離転職した場合には、離転職先の制度に加入者の年金資産を移管する。
(2) 運用
- ○ 加入者に係る年金資産については、運用の指図は加入者が行う。
- ○ 運用商品は、時価評価が可能で流動性に富んでいること等の要件を満たすものとする。
- ○ 運営管理機関は、加入者に村し て一定数以上の個別の運用商品の提示、一定の頻度での預替えの機会の提供、投資教育などを責任をもって行うものとする。
(3) 給付
- ○ 給付形態は年金支給又は一時金支給とする。
- ○ 一定の年齢 (例えば六十歳) への到達、死亡及び高度障害を支給事由とする。
- ○ 給付時は、加入者からの申請に基づいて運営管理機関が受給資格を確認し、その通知に基づいて、企業が拠出する場合の企業の従業員については資産管理機関が、企業が拠出しない場合の企業の従業員及び自営業者等については指定団体が支給を行う。
2 税制について
- ○ 確定拠出型年金に係る税制上の措置については、拠出時・運用時非課税、給付時課税とすることを基本とする。
- ○ 税制については、退職金課税や給与課税とのバランス、各種年金制度間のバランス、国際的整合性、世代間の公平確保等幅広い観点から、適正な課税の確保、とりわけ、拠出、運用、給付の各段階における適正な課税のあり方、貯蓄商品に村する課税との関連等に配慮しつつ検討を行う。
3 今後検討する主な項目
(1)制度への加入・搬出について
- ○ 国民年金の第三号被保険者(サラリーマンの専業主婦)を制度の対象とすることの是非。
- ○ 加入の年齢上限を何歳とするか。(例えば六十五歳)
- ○ 拠出限度額の具体的な水準
- ○ 個人の拠出を前提とする企業のマッチング拠出の是非。認める場合の具体的な仕組み。
- ○ 公務員への適用の是非。認める場合の具体的な仕組み。
(2)運用について
- ○ 個々の従業員の意思にかかわらず、事業主が一括して運用指図を 行うことの是非。
(3)給付について
- ○ 企業が拠出した料金について受給権付与に条件をつけることの是非。認める場合の具体的な条件。
- ○ 遺産形成を防止する等の観点からの支給開始年齢の上限など年金支給の方法についてのルール。
(4)その他
- ○ 既存の企業年金等からの移行の可能性及びその具体的な仕組み。
本案は、六月八日行われた自由民主党年金制度調査会懲的年金等に関する小委員会において、「確定拠出型年金制度の具体的な仕組みの検討の方向」として報告されたものである。
