メディアに掲載された石原伸晃関連記事を以下よりご覧頂けます。

実効力のある公務員制度改革
は、自民党でこそ。
- 中央公論 平成21年1月号
- 定価800円(本体762円)
- 発行所・中央公論新社
公務員制度改革に向けた論議が本格化しているが、柱の一つである「天下り」の根絶をとっても、政府与党と民主党の主張の隔たりは大きい。自民党が目指す真の改革とはどういうものなのか、党の公務員制度改革委員長を務める石原伸晃衆議院議員と、政治評論家の三宅久之さんが語り合った。
▼「公僕」は死語に?

三宅 社会保険庁の消えた年金″問題などをきっかけに、国民の公務員に対する怒り、不信感が増幅しました。「公務員制度改革」は、来たるべき総選挙でも重要な争点になるはずです。今日はこの間題について、石原さんにじっくりうかがいたい。
石原 日本の「官」は仕事をするし、アンダー・ザ・一テーブルなど決して受け取らない。三宅先生が第一線の新聞記者として活躍されていた頃は、たぶんそれが常識だったと思うのです。私自身、お役人とはそういう意識を持った人たちの集まりだと思っていたら、社会保険庁では自分たちの徴収率をアップさせるために、企業と結託して従業員の標準報酬月額を下げさせるような悪事まで働いていた。憤る前にあぜんとしてしまうわけですね。かつての「常識」が、知らない間にここまで崩れていたというところにこの問題の根の深さを感じますし、「社保庁だけじゃないだろう」と国民の皆さんが公務員全体に不信の目を向けるのも、ある意味、仕方のないことだと思います。
三宅 戦後、GHQによる改革が行われた時、役人というのは「パブリックサーバント」すなわち「公僕」であるということで出発し、定着したはずだったのに、死語になってしまったのか(笑)。ともあれ、不祥事を起こした関係者には責任を取らせないといけない。社保庁は解体されて「日本年金機構」が発足しますけど、ここには彼らは採用されないんですよね?
石原 「機構」に関しては、懲戒処分を受けた人間は再雇用できないよう、法律を作りました。
▼民主党に任せられるか

三宅 ところで、国民が非常に怒っているのが、お役人の「天下り」。この間題で、民主党は「2006年度に天下りを受け入れている独立行政法人に、12兆6000億円あまりの補助金が出ている。こんなのは全廃しろ」と主張していますね。それだけ聞くと、「なるほど」と思う人も多いのではないでしょうか。
石原 その主張は、暴論と言うしかありません。12兆6000億円というのは、例えば国公立・私学への交付金など1兆3000億円、防衛関連で1兆4000億円、あるいは国民生活金融公庫など政府系の貸付機関関連の約4兆円……。そういうものを含めた数字です。民主党は、これを丸ごと削れと、本気で言うのでしょうか? 政策論としてナンセンスですよ。一方で、削減が可能な無駄もたしかにある。事務事業から徹底的に洗い直して、不要なものからなくしていくというのが、我々の立場です。
三宅 野党という気安さもあるのでしょうが、民主党はアバウトだからね(笑)。政権を取ったら副大臣や政務官などを大幅に増員して、100人規模の国会議員を省庁に送り込む、という政策も掲げています。そうやって政策決定から官僚組織の管理監督までやるのだと。
石原 釈迦に説法なのですが、それこそ「三権分立」の根幹に触れる話になるのではないでしょうか。100人も「行政担当」になったら、立法府は誰がコントロールするのか。
三宅 そうですね。省庁幹部には民主党の政策への支持という踏み絵"を踏ませ、拒否する人間は登用しないということですから、行政の中立性が著しく損なわれる危険性も高い。
石原 おそらく英国のやり方が念頭にあるのだと思いますが、忘れてはならないのは、あの国では公務員は完全に中立だということ。官公労が民主党を支持している日本の状況とは、行政組織の実情もまったく違うのです。そもそも、英国型を目指しながら、中身は三宅先生がおっしゃるような米国「大統領型」でしょ? まともに機能するとは、「とても思えません。」
三宅 労働組合の話が出ましたが、社保庁では組合の「ヤミ専従」問題もクローズアップされました。この間題になると、民主党はとたんにトーンダウンしちゃう。(笑)
石原 税金で「給料」をもらいながら、公務に従事せず、組合活動を行っていたのだから、これはれっきとした犯罪です。金を返せばいいというものではありません。舛添厚生労働大臣もおっしゃっているように、なれ合っていた使用者側も含めて、きちんと刑事告発し、責任追及しなければいけない。
▼改革のカギは何か

三宅 天下りとともに、・中央省庁の斡旋で民間に再就職を繰り返す「渡り」という言葉も有名になりました。では、これらを根絶させるためにどうするのか、自民党の考えを聞かせてください。
石原 なぜこうした問題が起こるのかを明確にしなければ、解決法は見つかりません。あまりマスコミで報じられることはないのですが、国家公務員の平均退職年齢をご存じでしょうか? 小泉内閣の時に57歳への引き上げを目標に掲げましたが、現在でやっと56・4歳です。あくまでも平均ですから、実際にはこの年齢よりも早く辞めている人が数多くいる。
三宅 どうしてそんなことが?
石原 「早期退職慣行」、要は肩たたき″が広く行われているためです。そうしないと、若手にいつまでたってもしかるべきポストがまわってこない。でも、50代半ばで職を失ったら食べていけないでしょう。そこで、省庁が斡旋して再就職先を探すという、悪しき慣習が連綿と続いているのです。この根本原因にメスを入れなければ。まず、早期退職慣行をやめさせて、60歳までは省庁で働ける環境を整えることが必要です。
三宅 天下りと聞くと、ろくに働かずに高額の退職金を手にして民間を渡り歩く、というイメージなんですが、大半の公務員は生きるために「再就職」せざるをえない状況にある。一方で、税金で培った知見を活用する観点も必要ですね。
石原 「定年延長」と同時に、今も触れた、若手の積極的な登用を押さえてはいけない。そのためには、例えば55歳以降はスタッフとして働いてもらう、「役職定年制」の導入が必要になります。給与体系を全面的に見直し、役職を後進に譲った後は、当然手取りは減る。全体の人件費は増やしません。ここまで仕組みをつくって、初めて実効力のある天下り根絶策になるのです。
三宅 仕組みができるまでは、官民人材交流センターを新設して、政府が一元的に「再就職」を斡旋するという絵を描いていますね。しかし民主党は、「今すぐ、すべての天下りを禁止せよ」という立場です。
石原 今は公務員制度改革の途上、過渡期なんです。過渡期の再就職も認めないとなれば、みんなが官庁組織に残りたがるでしょう。給与もそのままで人件費は増大、若手の出世もままならなくなります。それがあるべき改革だとは、私は思いません。
三宅 自民党の目指す方向性はよく分かり牒した。2008年6月に公務員制度改革基本法が施行され、そこに盛り込まれた中央省庁の幹部人事を一元管理する「内閣人事局」の問題もあります。石原さんの旗振りのもと、改革が実を、結ぶよう、期待したいですね。
石原 これは、「公務員制度改革委員長」としてだけでなく、「幹事長代理」としても党内で公言しているのですが、公務員制度改革に関しては、「後退」「骨抜き」と評価されるような妥協は一切認妙ません。私は、不正やサポリを許さない信賞必罰の人事評価を徹底することによって、国民の皆さんの納得がいく公務員制度改革を、ぜひ、成し遂げたいと思っています。
- 協力:自由民主党

