マスコミ語録

メディアに掲載された石原伸晃関連記事を以下よりご覧頂けます。

日刊スポーツ
平成19年6月29日

日刊スポーツ鼎談企画

安倍総理のリーダーシップで
改革を貫き、成長を実感に変えて行く!!

各党党首・幹部の対談シリーズの最終回は自民党。石原伸晃幹事長代理(50)片山さつき広報局長(48)と政治評論家の三宅久之(77)が登場。冒頭から今回の参院選の最大の争点となりそうな「年金問題」について熱く語り合った。小泉純一郎前首相、安倍晋三首相の意外な素顔も明かされ、最後は辛口で知られる三宅氏から温かい(?)エールも飛び出した。

<年金問題>

三宅:おそらく安倍総理はそう思っていなかったはずですが、今回は「年金選挙」になりましたね。年金に対する不信や不安がこれだけ高まると、政権政党として「最後の1人までちゃんと支払う」という安倍総理の言葉をどれだけ信じてもらえるかが選挙のカギになってくると思います。

石原:私もそう思うんですよ。先日の世論調査なんかを見ますと「総理の言葉が信じられない」という声のほうが圧倒的。そこをどう克服していくかということがポイントだと思います。私はやはり社会保険庁という役所自体が不信の象徴になっているからこういう数字が出てくると思うんです。今回の問題をご説明しますと、平成9年の基礎年金番号導入前には、就職や転職、結婚による改姓などにより、1人が数口の年金記録を保有していたため約3億口の年金記録が存在していました。これまで社会保険庁は年金記録を1人1口とする作業を行ってきましたが、約5000万口がいまだ基礎年金番号に統合されていない。この約5000万口は消えたわけではないんです。その5000万口が誰のものなのかをチェックする名寄せ作業を、政府・与党は責任を持って今後1年間で完了させると言っているわけです。しかし、「10年間かけてきちんとできなかったことが、なんで1年でできるんだ?」というところに多くの方々が疑問を抱かれていると思うんです。

三宅:そうですよね。

石原:年金というのは性別・氏名・生年月日で登録されています。それに加えて、厚生年金の場合は事業所の場所、国民年金の場合は住所。それを照合する作業をしていくわけです。では、それがピタリと一致するものだけ同一として処理していけばいいかというとそうではない。
私はよく亀井静香さん(国民新党代表代行)の名前を出すんですけれども。「亀井静香さん」というと、我々の業界だったらあのいかつい顔が浮かぶんですけれど(笑い)、もしかしたら可愛い女性かもしれないわけですよね。そういうふうに性別を間違えて打ち込まれたかもしれないデータもきちんと照合しなければならない。
こうして、ちょっと年金問題の入り口をお話しするだけで、これだけ時間がかかる。こういうところがこの問題の難しいところなんです。今私が話したことを1分で説明できれば、話はガラッと変わって「総理の言うことは信用できる」というふうになる。そういう努力をしていかなければいけないと思います。広報局長としてね、片山さん(笑い)。

三宅:でも、片山さん、物事には1分で説明できることとできないことがあるよね(笑い)。

片山:今回の件では本当にご心配をおかけし、申し訳ございませんでした。年金制度自体が、かなり複雑な上、つい最近まで今ご自分がどのくらいの年金を受け取れる状況にあるのか等について、国民の皆さんに定期的にお知らせする制度がなく、ようやく35歳・45歳・58歳で「ねんきん定期便」が来年スタートするところでした。今やそれだけでは足りないので、1億人全員に加入履歴をお送りすることも自民党として検討しています。いずれにせよ、多くの方々がご自分の年金受給予想額や加入履歴について明確に認識していらっしゃらない状態でこの問題が起きて、しかも特に最初の頃は窓口や電話相談の対応がしっかりできなかったこともあって、ますますお怒りをかってしまった。

三宅:そういうのを聞くと、ここに任せておいて大丈夫かな、と多くの国民が思うでしょう。

石原:社保庁というのは調べてみますと、自治労国費評議会という労働組合が、労働慣行をゆるくする方向に動かしてきた団体であるということが、最近のメディアの報道でも明らかになってきた。
国鉄改革もそうだったと思うんですよね。50年代はストばかりやって、運賃も私鉄に比べて高いし。しかし、そこに「改革3人組」(松田昌士氏、井手正敬氏、葛西敬之氏の国鉄民営化に尽力した3人の総称)とか、内部からも「問題がある」と言う人が出てきた。

三宅:国鉄のときはあったね、それが。

石原:社保庁の中でも意識のある人はきっといると思うし、歴代の長官の中でも「私はやっぱり退職金返しますよ」という方はいらっしゃるはずなんですよ。また、直接的な責任はないにしろ、政権を持っている者の管理責任もある。それぞれの責任を明確にし、徹底追求していくとともに、二度とこのような問題が起きないように、社保庁の抜本的改革を断行していく。そのようにけじめをつけていくことで、今回の件で失った年金制度への国民の皆様の信頼を少しずつ取り戻していくことができるんじゃないのかと私は思うんです。

三宅:安倍総理は今回の年金問題に関しては領収書がなくても、税金をきちんと毎年払っていたというようなことが証明できれば、おそらく年金も払っていたというふうに柔軟に対処するお考えと聞いていますが、そうなんですか?

片山:そうです。安倍総理は「まじめに保険料を払ってきたのに、年金がちゃんともらえない。そんな理不尽なことがあっては決してならない」とはっきりおっしゃっています。第三者委員会は中央では6月25日に発足し、全国で50の地方委員会も7月半ばには発足予定です。ここでは記録や領収書等がなくても、証言や雇用保険、納税記録等もフル活用して、あくまで国民の側のお立場に立って判断をする方向です。

石原:実は安倍さんの今回の件での功績は、社会保険庁という取る側の論理で回っていた社会保険システムを、年金保険料を払っている国民の立場に制度を変えようとしていることだと思います。

三宅:もうひとつの問題としては、社保庁のスタッフの能力があります。つまり相談窓口などはアルバイトのような人がやっているから、相談してもすぐ答えが出せないことがありますよね。

片山:実は社会保険事務所の職員は、全員が相談に活用できるほど社会保険労務の知識があるわけではないんですね。
しかし、全国2万人の民間の社会保険労務士の方々や社保庁OBでも業務センターの相談員として相談がこなせる方々も多くいらっしゃるので、それらの方々にも全てご協力いただく。さらに各企業の社会保険労務の担当者にも経団連等を通じてご協力を要請し、従業員の方の記録確認を助けていただく。年金に対する不信感という国家の屋台骨を揺るがすような大問題ですから、オールジャパンでやろうということを自民党としても一生懸命お願いしているわけです。

三宅:そうですね。私もこれは国家総がかりの問題だと思うんですね。

片山:はい。やはりそれくらいしないと早期の不安解消は無理だと思っています。

三宅:これは民主党にも要望したいんだけど、「大変だ」とか「ダメだ」とか言っているんじゃなくて、具体的な提案をしてほしいですね。国民がこの問題に対して持っている不安感を払拭するというのが急務ですから。

石原:政府・与党は、現状の社会保険庁を解体して、小さな6つの組織に分割する「社会保険庁改革法案」を今国会で成立させます。新たな組織においては、職員も、「非公務員型」とし、やる気があってまじめに仕事をする職員だけを再雇用するようにします。社会保険庁の組織、職員、仕事のやり方を抜本的に変えることが、年金の問題を解決するには必要不可欠です。3千万人の方が毎年40兆から45兆の年金を給付されている仕組みを運営している国は世界中を見てもそんなにないわけです。それで老後の生活を支えている方がいらっしゃる以上は、政争の具にするのではなく、年金の信頼性を高めていかなくてはならない。参議院選挙があるから当然党利・党略もあるんですけれども、私は与野党ともに政治家としての責任があると思っています。

<安倍総理のリーダーシップ>

三宅:選挙が始まる前にぜひともお聞きしておきたいのは、安倍総理についてですね。世論調査では安倍総理のリーダーシップについて国民が疑念を持っていることが浮き彫りになっているわけですが、近くにいる方から見て安倍総理のリーダーシップはどうですか?

片山:私どもは広報の制作物は構想段階からかなり前もって、官邸にご相談に伺っています。総理は大まかな方向性や具体的なキーワードまで、かなりはっきりご自分のお考えをおっしゃるんで、非常に仕事がしやすいです。それから改革にかける姿勢は全然ぶれていなくて、豪胆な決断をされる、非常に腹のすわった方です。そのことはこの選挙戦で皆様にもわかっていただけると私は確信しています。

石原:上司としても聞く耳を持って適切なアドバイスもするし、決めるときは結構頑固でしょう?

片山:そうですね。

石原:ポスターの色なんかも我々がいいと思ったものと違うものをよく選ぶんですよね、片山さん(笑い)。

三宅:そうなんですか?

片山:詳しくは申せませんが、ポスターはもう3枚目ですが、他の重要パンフレットの表紙等も含め、党の側で「このスタイルで」と上げても、総理が「いや、こっちの方が」とおっしゃって、党本部に戻って間に挟まり大変な目にあったことも実はあります(笑い)。

石原:その辺は意外でしょう? 私が幹事長代理として国民の方々にお願いしたいのは、安倍総理をもう少し見守っていただきたいということです。小泉内閣で閣僚をやっていた最初の頃は小泉総理って割と気さくに話せたんです。変わったのはやはり田中真紀子さんを更迭してからですね。

三宅:ほう。

石原:世間の評判を失いました。人気者だったわけですから。それでもその後の総理はですね、気安く話しかけて相談できるような感じでなくなくなりました。

三宅:へえ。

石原:やはり地位と時間、そして事例が人を変えるということを、小泉総理のときに目の当たりにしました。安倍総理は今回のサミットでひとつの成果を出されました。さらに、天下分け目の戦いである参院選で勝利すれば、真のリーダーシップを確立できるのではないでしょうか。やはりそこまで見ていただきたいですね。

<公務員制度改革>

三宅:今期国会の終盤で総理が「会期延長してでもやりたい」と非常に執念を燃やしていることの1つに公務員制度の改革、つまり天下りを禁止するというのがありますね。これについては賛否両論の意見がありますが、片山さんも官僚OBとして、どうですか?

片山:今回の公務員制度改革の原案が浮上したとき、霞ヶ関は激震していましたよ。特にあと数年で再就職に届くかなというくらいの年代の方の激震はすごかったです。ただ、若手中堅は「どうせ自分たちが60歳になるころには、もうそういう時代じゃないでしょ」と結構クールでしたね。率直に言って民間の側から見れば「押し付け的斡旋でない限り引き受けたくない人」と「ぜひともきてほしい人」という区別は明らかにあるんですよ。その前者の人を引き受け続けるのは、グローバル競争にさらされ、経営のガバナンスを強化しなくてはならない日本企業にとって、そろそろ限界に来ているんですね。官僚の側から見たって、今のように役所の官房長が行き先を全部決めていると、「この人は、俺のいうことを聞かなかった」なんて理由でいいところに行けなかったりするわけです。むしろ人材バンクになれば、優秀な方は自分の役所の官房長とそりが合わなくても、民間企業の方が欲しがるから「売れる」わけで、より労働市場のマーケットエコノミーに近い形になりますね。

三宅:そういうことをやっていくと優秀な人材が役人にならなくなるという意見があるけれど、安倍総理は「50歳過ぎたときに天下り先がないから役人にならないとかそんな人なら役人になってもらわなくていい」と言っていましたね。安倍総理の改革に賭ける情熱というのは半端なものじゃないなと感じました。

石原:これも総理のすごく強いイニシアチブで進められているものです。そして、省庁がやっていた再就職というものも一元化して、官民交流は深めていこうと。
ここが民主党と違うわけですね。民主党の案だと官僚は辞めてから5年間は民間に行けない。民間にはもうなれないですよ。世の中の進歩がこれだけ早い時代ですから。官民との交流を閉ざすようなことは、今の時代にあってはいけないと思います。

<無党派対策>

三宅:この参院選でも注目は無党派の動きですよね。自民党の歴史を見ていても、無党派層が固定の自民党支持層に乗ったときは非常に強い。そういう意味で無党派対策が非常に重要ですが、どうアピールしていくおつもりでしょう?

石原:これは難しい質問だなあ。どうぞ、広報局長(笑い)。

片山:実はその辺の対策について、いろいろリサーチしていて、先日も30代前半のサイト運営会社の方々や世相分析に長けた学者の方とお話をしたんですけれども、その世代の方は新聞も紙媒体で読まずにネットでご覧になって、テレビもどちらかといえばあまり見ないと。テレビ世代は30代後半以上だそうです。ブログなんかを見て、それをゆっくり自分で消化してから返事なり発信なりをするらしいんですね。口から泡を飛ばして、バンバン言い合うディベートというものをあんまり評価しないらしいんですよ。もともと民主主義の原点はディベートで、時には怒鳴りあいも仕方ないんですけどね。

石原:小泉さんと管(管直人氏・民主党代表代行)さんはすごかったですよね、言い合いで。

片山:すごかったですよ、バトルが。でも、それが面白いという人もいる反面で、「そんなの相手が話終わってから言えばいいじゃない。みっともない」という見分が若い無党派の人たちの中にはあるんですよ。相手の話を丁寧に全部聞いてあげて、自分のほうからも情報発信をお返ししていく。そのキャッチボールの中で話を消化していくんですね。今度ブロガーの人たちとも対談したいと思っているんですけれども、やはりそこまで丁寧に徹底的にやらなければいけないのかなと。自民党は全部ちゃんとお返事しますというふうに。

石原:テレビ世代というのはきっとワンウェイなんですよね。しかし、ブログの世代はインタラクティブになっている。それに対してちゃんとレスポンスを持っていくっていうのは政治の世界では大変だと思いますけれど、世代がそういうふうに分かれているとしたら、そういう人たちにはそういうきめ細かい情報提供をやっていかなければならない。

<最後に>

石原:先生、最後に何か自民党に言っておきたいことがあればお願いします。ぜひ辛口で(笑い)。

三宅:ボロクソにいうのは慣れてるんだけどね(笑い)。

石原:先生、ボロクソじゃなくて辛口ですよ(笑い)。

三宅:私は政治記者になったのは吉田(吉田茂元首相)内閣の頃ですから、もう50年以上前です。保守合同を目で見たなんて、評論家仲間でも私くらいじゃないかと思いますけどね。だから「評論家界のシーラカンス」といわれているわけですが(笑い)。
そうして見ると、自民党もやっぱりいろんな浮き沈みがあったんですね。たとえば18年前の竹下内閣がそうですね。自民党は参議院の議席が69議席から36議席になったんです。これが自民党のこれまでの参議院における最低議席ですよ。

片山:消費税のからみもあったでしょうね。

三宅:それはもちろん。それとリクルート。それで、そのときは予算が4月になっても通らないんですね。

石原:暫定予算が。

三宅:そうです。それで、竹下さんが自分が退陣する表明で与党が単独強行採決をやったんです。自民党だけで予算を通したのは初めてですよ。それで選挙をやったら大負けに負けて。あのときなんかどうなるかと思った。
そういうことを考えれば、今の年金問題の逆風なんていうのはたいしたことない感じですよ。やっぱり小泉人気のときのように、いつも順風満帆じゃないです。大体6割から7割はアゲインストで戦うわけですよね。
そういうときに、最後にものを言ってくるのは総理のリーダーシップと候補者1人1人の資質の問題だね。そういうものの集積が自民党政権を支えてきたんではないかと思うんですよね。それを思えば、今の自民党はもっともっと元気を出さなきゃならないと思います。年金問題、公務員改革、その他にも課題が山積みですが、だからこそ、やっぱり実行力がある自民党がしっかりやらないとダメですよ。

石原 片山:わかりました。本日は本当にありがとうございました。

●プロフィール

石原伸晃(いしはら・のぶてる)
1957年神奈川県生まれ。慶應義塾大文学部卒業後、日本テレビに入社。政治部記者として大蔵省・外務省などを担当。89年に同社を退社し、翌年衆院選に出馬。政界入りする。03年の小泉内閣に行政改革・規制改革担当大臣として初入閣。第二次小泉内閣では国土交通大臣、観光立国担当大臣を務め、現在は自民党幹事長代理。衆院当選6回。
片山さつき(かたやま・さつき)
1959年埼玉県生まれ。東京大法学部卒業後、大蔵省に入省。西日本初の女性税務署長、女性初のG7・サミット政府代表団員、女性初の主計官等を歴任。05年の衆院選で"郵政民営化賛成候補"として静岡7区から出馬、選挙区で当選し、政界入り。経済や財政のエキスパートとして小泉政権の経済産業大臣政務官を務め、現在は自民党広報局長。
三宅久之(みやけ・ひさゆき)
1930年東京都生まれ。早稲田大第一文学部卒業後、毎日新聞社に入社。政治部の記者として特別報道部長など要職を歴任。76年に同社を退社し、フリーランスに転身。政治評論家としてテレビ出演や執筆活動を行うかたわら、日本道路公団経営改善委員会などを務めた。著書に「『日本の問題点』をずばり読み解く」「闘争―渡辺恒雄の経営術」など多数。

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