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日本農業新聞
平成19年6月3日号
連載永田町 ズバリ核心!
小林吉弥(政治評論家)
「年金」は権利の回復が急務
政争の具にするな
終盤国会が大荒れである。とくに、自民党は参院選を前に「宙に浮いた年金記録」「松岡前農相の自殺」で、一気に窮地に追い込まれた感がある。対して、民主党はこの機にどう乗じようとしているのか。2週にわたって両党の党運営、参院選対策の執行部最高責任者を直撃する。

今週は、石原伸晃・自民党幹事長代理(元国交相)。こ存じ、石原慎太郎・東京都知事の子息だが、筆者は親父サンよりそのバランス感覚の豊かさを評価している。
さて、ここに来て安倍内閣の支持率が急落している。「年金」「松岡」問題は、さらに足を引っ張る懸念がある。石原氏、「年金」では党の年金問題緊急調査対応委員会の座長に任ぜられ、救済策としての年金時効特例法案の策定に汗を流した。
「約2880万件の年金受給資格者があると見込まれている。まず、その方々の権利回復のための体制を1日も早く作ることが不可欠。行政の怠慢など、組織に本質的な問題があった。だから、特例法とともに社保庁改革関連法の成立も一刻も早くということだ。政争の具とするなどは、愚の骨頂」
「松岡さんの死が(安倍内閣の支持率に)どう響くかは読み切れない。党としては、“年金”で信頼を回復することに全力投球。あとは、国民の判断に委ねたい」
今国会も時闇がなくなってきた。振り返って、一連の民主党の対応とへ自民党の“出来栄え”をどう見ているのか。
「(民主党は)“対立路線”という旗の下に、“何でも反対政党”に先祖返りをしてしまったのではないか。国会軽視なども含めて、小沢代表の責任は重い。与党としては国民投票法や教育関連三法など重要法案に成立、あるいは成立のメドがつき、安倍内閣の目指す国づくりへの第一歩を政策として国民に示すことができたと自負している」
参院選の争点は、どうなる。
「野党は、“年金”でくるだろう。わが方も、当然、受けて立つ。と同時に、北東アジアをめぐる情勢など外交間題、憲法改正姿勢なども明確にしていきたい」
農業間題は、どうなる。民主党は農家への「戸別補償に1兆円」を謳(うた)っている。
「安倍首相も強調しているように、“未来のある農政”を掲げたい。品目横断的な経営安定対策も進める。また、都会の子どもの農山村留学も全国展開させていく。民主党の言っているのはメチャクチャだ。財源をどうする、といった間題もある。疑念が多い」
一方、自民党の選挙態勢に不安をみる向きもある。官邸と党の“スキマ風”も言われている。一枚岩ならずの不安はないか。
「心配はない。私はこれまで政調畑ばかりで、党運営は初めてだ。おこがましいが、しかし官邸と党の“潤滑油”を任じている。戦(いくさ)を前に、一枚岩になりつつある」
与野党逆転を阻止できる自信は。
「やはり、1人区が勝負どころになるだろう。全力を挙げるしかない。そのうえで、私は都連会長として、東京でなんとか2人当選を目指さなければならない」
厳しい局面に立つ官邸には、焦りがうかがえる。石原氏、ただ今“潤滑油”の一方で週末は必ずどこかの選挙区に出向き、“下支え”に余念がない。どうやら混迷政局、参院選与野党逆転阻止のキーマンになりつつあるようだ。
こばやし・きちや 政治評論家。
1941年8月生まれ。早稲田大学第一商学部卒。鋭く的確な政局分析、独自の指導者論、組織論に定評がある。講演、執筆、テレビ出演など幅広く活動。最新刊に『究極の人間関係力』(講談社プラスアルファ文庫)のほか、『田中角栄の時代 小沢一郎の知恵』(講談社)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など、多数の著書がある。
