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読売新聞 平成18年10月28日
読売国際会議2006秋季フォーラム
「新生日本の設計―新政権の進路」

東京会議(平岩外四会長)と読売国際経済懇話会(YIES=保田博理事長)が共催する読売国際会議2006秋期フォーラム「新生日本の設計――新政権の針路」が10月13日、東京・大手町の経団連ホールで開かれた。安倍新政権の発足から間もないこともあり、安倍首相が最初の外交舞台として選んだ中国、韓国での首脳会談、滑り出しの政権運営への評価、核実験に踏み切った北朝鮮への対応、優先すべき内政課題などについて、識者たちの熱のこもった意見交換が行われた。会場は、今後の政治の行方に関心をもつ約450人の聴衆で埋まった。
小林陽太郎氏

富士ゼロックス相談役最高顧問
1933年ロンドン生まれ。慶応大経済学部卒、米ペンシルベニア大ウォートンスクール修了。78年富士ゼロックス社長、92年会長。2006年4月から現職。新日中友好21世紀委員会日本側座長。
[相互理解へ方向付け期待]
アジア、とくに中国、韓国とは、意見の違いとして尊重し合う大事だ。大きな経済力、軍事力を持つ中国に対してはアジア、世界が不安を抱えている。それをプラスに転化するうえで、日本への期待は大きい。
日中首脳会談が早く実現したのは、「将来にわたる好ましい関係を築きたい。まずきっかけを」という安倍首相の決意と、胡錦濤国家主席の志が一致したからだろう。
新日中友好21世紀委員会での経験から言えば、両国民はお互いがお互いを知らな過ぎる。文化交流や教育による相互理解を外交の基盤にしなければならない。
一番知らないのはお互いが目指す国づくりだ。21世紀委員会で、中国側は「文明の大国」「親しまれる大国」「調和ある大国」を目指すと発言した。それをどう実現するかが問題だ。
民主主義などの価値や理念は(政治外交の)手段と具体的に結びついている。そこを見極め、相互理解を深めるうえで、安倍政権には勇気ある方向づけを期待している。
日本は1945年以降、アメリカに視線を集中させてきた。しかし、アジアは世界の中で存在感を増している。アジア外交をきちんと考えなければならない。
シンガポールのリー・クアン・ユー元首相は、今世紀の半ばにかけ世界で最も決定的な役割を果たす2国間関係は米中だと言う。その大局観で、日米関係、そして中国、アジアとの関係を見直すことは、日本にとって焦眉の急だ。
マイク・モチヅキ氏

米ジョージ・ワシントン大教授
1950年生まれ。ブラウン大卒。ハーバード大で政治学博士。エール大、南カリフォルニア大助教授、ブルッキングス研究所上級研究員などを経て現職。
[米、首相の中韓歴訪を歓迎]
6年前、現在のブッシュ政権の対日政策の青写真となったアーミテージ・リポートが出た。その中に、米英関係が米日関係のモデルとなるという主張が盛り込まれた。日本の政治指導者らからは野心的過ぎるといった慎重論もあったが、米日関係に適用できる側面はある。
共通の価値観がその一つだ。アメリカは、東アジアの民主主義国を強化し、法の支配、市民の自由促進の声をこの地域で大きくするカギの役割を日本が担いうると考えている。私はこの面で独善的なところのある米国よりも日本の方が中庸の影響力を地域に与えることが出来ると考える。
米英同盟の「一緒に戦う」という側面の適用に関して言えば、アーミテージ・リポートはあまりに野心的で日本の憲法を越えた部分があった。ただ、恒久法を制定して自衛隊を海外の安保ミッションに参加させる道を開くこと、弾道ミサイル防衛と危機管理に関する情報面の米日協力、北朝鮮による核の拡散防止――はきわめて重要だ。
中国に関して、アメリカ人の多くは責任ある地域の一員になりうると考えている。その観点から日中の協調関係をアメリカは望んでおり、政策決定者たちは安倍首相の北京、ソウル歴訪の成果を歓迎している。
米英関係が同等であると言っても、ブレア首相のアイデアをアメリカが取り入れることはなかった。それでも、米日関係の強さゆえに、アメリカは日本の独自行動を、究極的には利害が一致していると判断して認める可能性はある。日本独自の外交は重要だ。
<外交はアジア互恵関係>
■アジア・ビジョン
――安倍新政権の課題の一つはアジア・ビジョン(将来構想)だとも言われる。
小林:日本にはビジョンがないと言われることがあるが、歴代内閣を見れば、実は長期ビジョンがあり、連続したメッセージを備えてきた。それは平和的な国家づくりであり、付加価値をつけることで国民生活の質の向上を目指すことだった。このことははっきりしている。
――アジアのビジョンを考える場合に、中国の将来をどう押さえるか。
小林:中国が経済力をつけ軍事力も大きくなる一方、透明性に欠けることから、覇権国家になるのではないかという見方がある。しかし、私も参加する新日中友好21世紀委員会で中国側の話を聞いてみると、国内問題が山積していることは間違いない。
実際、調和ある経済を作るには、非常に遠く、長い道のりを要するだろう。委員会の議論では、そのために必要な中堅幹部を育てるのに日本の協力が必要だという率直な声が中国側から聞かれた。
経済的に大きな存在の日中両国がアジアで指導力を発揮していくべきかどうかについて、中国は意識的に東南アジア諸国連合(ASEAN)がそうあるべきだと言っている。だが、この点については、東アジア共同体(EAC)のあり方も含め、中国と日本がどう対処していくのかを、互いの目指す国家像を明確にしつつ話し合っていくことが大切だ。
御厨:アジアのビジョンを作る時に、まず、日本が20世紀に背負った歴史問題とどう向き合うかを避けては通れない。歴史認識問題にどう決着をつけるのか。日本はあいまいなままで回答してこなかった。中国側も、日中戦争時代の史料を含めて出してこなかった。双方がこれを明確にしないと前向きの問題解決に結びつかない。
――日本は米中両国にどのように向き合うべきか。
モチヅキ:日米とも、中国が国際社会の中で相応の役割を果たし、地域で安定した国になってほしいと考えていると思う。中国の成長は日米にとってよい機会になるからだ。
日本にはアメリカが頭越しに中国と手を組むのではないかという恐怖感もあるようだが、アメリカは日本を引き続き東アジア戦略のかなめと見ている。
アジアのビジョンとしては、93年、米シアトルで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)初の首脳会議でのクリントン大統領演説で示されたものが最善だ。アジアを考える時にアメリカ抜きはありえないということだ。
東アジア共同体(EAC)をアメリカ抜きで考える動きもあるが、それをアメリカが怖がることはない。(例えば)日本が良好な日米関係を安全保障面にとどまらず、経済連携協定にまで高めれば、それがグローバル化のひな型となり、アジアのほかの地域でも使える。そうすれば、10年後にはEACも同時に構築できる。それは、93年当時、クリントンが行っていたことにほかならない。
――日中間では靖国問題、東シナ海での天然資源開発問題などが依然として未解決だ。日中は政府、民間ともどう対応すべきか。
<日中、将来像語り合え 小林>
小林:日中の若者たちがネットを通じ誤解に基づく発信をしていることのダメージは計り知れない。これは世論でもあるから中国政府も無視できない。
中国から日本に多くの留学生が来ている。彼らの多くがまじめに学習し、帰国後、それをどう生かすかにも取り組んでいる。日本政府の中国人留学生招待計画も始まっている。地道だがそうしたことを進めるべきだ。
■北朝鮮
――北朝鮮が核実験に踏み切り、米国の思惑通りに事が進んでいない。米国は北朝鮮に今後どう対応しようとするのか。
モチヅキ:責任は北朝鮮にあるが、米国側も過去、ミスを犯した。ブッシュ政権の誤りは、クリントン政権が進めた94年の枠組み合意を排除したことだ。米日韓3国が協調して北朝鮮を監視する方法を踏襲していれば、問題はなかった。
戦略上の合意がないまま他国間アプローチを取ったことも誤りだ。韓国や中国は米国とは異なった戦略を持っていた。北朝鮮を説得して核を放棄させるには、アメもムチも大きなものが必要だったが、米日中の間で戦略的合意がなかったために破綻した。
北朝鮮の核を解体するには交渉しなければならないのに、それをしないというのは愚かなことだ。北朝鮮はソフトに変化する必要があり、包括的に取り込んでいくべきだ。無条件の6か国協議復帰を要求することで、米日は自らを袋小路に追いやっている。
――北朝鮮の核実験に対し、日本の対応はどういうことになるのか。
石原:北朝鮮が核保有国になることで最も被害を被りやすくなるのが日本だ。数年以内に日本の安全保障のあり方を国民に問うことになりかねないところに来ている。
日本は拉致問題も抱えている。日本のさらなる制裁措置が北朝鮮にとってはボディーブローとして効いて来ると思う。北朝鮮とは議論をすること自体が難しい厳しい状態が続きそうだ。
――今回の一連の制裁の後の対応として、日米安保体制、憲法問題などはどうなるか。
石原:北東アジアがこのように不安定な中で、非核三原則を堅持し、現行憲法の範囲内で、防衛装備の質の向上をどう進めるべきかについて、議論を深めなければならない。
<対北、日米韓で強調 モチヅキ>
■訪中、訪韓
――安倍訪中、訪韓をどう総括するか。
石原:首相就任後、最初の訪問先に中国を選んだのは安倍首相の決断だった。日中共通の戦略的利益に立脚した互恵関係を強調したのは画期的だ。日本の戦後60年の平和的な歩みについて、中国が一定の評価を示したことも有意義だった。両国民の感情が冷えている中、今後、どうやって互恵関係を高められるかが新政権の課題だ。隣り合った日韓中3か国は好き嫌いを言わず連携を強化することが基本でなければならない。
石原伸晃

自民党幹事長代理
1957年神奈川県生まれ。慶応大文学部卒、日本テレビ政治記者から90年衆院議員初当選(当選6回)。行革・規制改革担当相、国土交通相、2006年9月から現職。
[首相、新国家像示す]
小泉内閣の前後で自民党には三つの大きな変化があった。第一に人の選び方。安倍首相が党改革実行本部長だった当時、各種選挙に公募制が積極導入された。これまで現場の利害に引きずられ、時代のニーズを的確に反映できなかった候補者の選び方が変わり、狭い地域の利害から切り離された候補、議員が増えた。
第二に政策の立案、運営が官邸主導型になり、大方針、骨格には官邸、首相の意思がはきりと示されるようになった。安倍首相も5人の首相補佐官を任命しており、大統領制度的な政策決定が、日本でも始まったことは間違いない。
第三に政治資金の透明化だ。企業献金を、追跡可能な振り込みに限ったことにより、政治と距離を置いてきた日本の企業は「金も出すが口も出す」という態度に変化しつつある。
自民党は日本を豊かにする、という第一の目的は果たした。しかし、今回の北朝鮮問題を見ても、我が国の安全を確保するために必要な行動を取ろうとしてもままならない、という現状にある。日本の政治が戦後を完全に脱して、独自の政治スタイルを確立したか、といえばまだ道半ばだ。
日本の政治は大きく変わりつつある。初の戦後生まれの首相が誕生したように新しい政治の構築が始まるだろう。
小泉改革は既得権益のしがらみを排し、古い建物を壊して整地した。安倍首相がその後に建てる新しい家こそが、新たな国家像を示すことになる。
御厨貴氏

東京大学先端科学技術研究センター教授
1951年東京都生まれ。東大法学部政治学科卒、同助手。78年東京都立大学法学部助教授。88年同教授。99年政策研究大学院大教授。2002年から現職。
[官邸に司令塔必要]
小泉前首相は「壊す」リーダーシップだった。安倍首相は「創造」を求められるから、苦労するだろう。
安倍首相には、現在、基本的に党内に敵がいない。これは一見(基盤が)強いようで弱い。自称ブレーンがたくさんいて政権は着ぶくれ状態だ。
首相補佐官は5人。その下に官僚がついているが、マスコミは補佐官に注目するから彼らは、何とかしないと、と思うようになる。内閣でうまく行かない部分を(彼らに)担保させるのだろうが、円滑に運営するには官邸の中に司令塔が必要だ。これが今のところ、まだ見えない。
若い国会議員が多く、落としどころを探る人がいない。政策の決め方も新しいスタイルになろう。
官邸主導といっても分かるようで分からない。最後の責任をどこで取るのか。小泉前首相は自分で取ったが、今度の内閣はいろいろな政策を抱えて一挙に走らせようとしている。何が一番大切なのかがはっきりしないと息切れするのではないだろうか。
小泉前首相はタブーを解き放った。憲法改正、靖国問題など、彼なりの行動によって議論できるようになった。安倍首相は著書「美しい国へ」を読む限りでは、国家やイデオロギーの問題を扱いたいようだ。
政治家は仕事を一つこなすと大化けするものだが、ある程度長期の政権でないと化けられない。小泉政権が5年半、安倍首相もそれだけやれば日本は大きく変わるだろう。
<財政、年金が優先課題>
■政権運営
――小泉前政権と比べて安倍新政権をどう見るか。
小林:スウェーデンの政治学者が民主主義を三つに類型化している。
懸案を黒か白かで簡単に決めていくクイック(quick)な民主主義、透明性は高いが薄っぺら(thin)な民主主義、問題をマニフェスト(政権公約)的に議論し是々非々で決めていくストロング(strong)な型の民主主義。
日本のデモクラシーは、このところ100%近くクイックになっていたのではないか。安倍首相は、マニフェスト的なものにもまじめに取り組んで、クイックの度合いを少し薄めて、考え、議論して、その上で決めていく方向になるようにリーダーシップを発揮してほしい。
――安倍政権が目指していると言われるホワイトハウス型官邸になりうるだろうか。
モチヅキ:意思決定のシステムを、調整型から、首相への集中型にするというのはアメリカ人から見てもいいことだ。ホワイトハウス的指導になるかどうか。それは、誰が首席補佐官に就くかということが決定的な要因になるだろう。NSC(国家安全保障会議)を作り、官邸を強化したからといって、すべてがうまくいくわけではない。
首相の政治スタイルによって結果はかなり違ってくる。ホワイトハウス的といっても、誤りを阻止するメカニズムがないものになる可能性もあるからだ。
■再チャレンジ
――安倍政権が掲げる再チャレンジや「格差」問題への取り組み姿勢をどう見るか。
御厨:失敗した人間にもう一度チャンスを与えるということは、今までの日本ではほとんどなかった。
それは、敗れた人間も、そこそこの保障があって生きていける世界だったからだ。しかし、今後、保障がないということになれば、再チャレンジを認めなければ、社会が成り立たない。
安倍首相は、小泉前首相がイメージ的に少々やりすぎたことを補正して、さらに新しいところに目を向けようとしているのだろう。
再チャレンジの制度化も重要だが、一方で、事実上の官僚養成所だった東大の学生が最近は官僚になりたがらないことも問題だ。これからチャレンジする若者にも夢を与えるのが、安倍政権の責任だろうという気がしている。

――若い人にどうやって夢を持たせたらいいのか。
石原:社会構造の変化にエリートも追いつけていないということで、非常に困惑している。学術面の教育だけではなく、例えば左官屋さん、水道屋さんといった技のプロフェッショナルが誇りを持てる教育で社会を構築できれば、若者も夢を持てる。両方の面を教育の中で確立していくことが必要ではないか。
モチヅキ:自らの責任で自らの夢を実現するのがアメリカの若者だ。プレッシャーはあるが、学校でうまくいかなくても、二番目、三番目のチャンスが与えられる。日本からの留学生も今は、企業や官庁からの派遣留学生よりも、国際社会に貢献したいといった自らの夢を持った留学生が出てきている。日本の社会は過去からの厳格な決まり事があり過ぎる。それを少しゆるめてより大きな責任を与え、若い人たちが夢を実現できるようにすればいいと思う。
<夢持てる教育確立を 石原>
■政策論争・政策課題
――政策論争の質を高めることの重要性が叫ばれて久しいのだが、その仕組みは芽生えてきたのか。
石原:安倍内閣のスタートにあたって、初めてのことだと思うが、副大臣、政務官、委員長を党の幹事長室を中心にして一度に決めた。政策立案プロセスを高めるには専門性が重要になってくる。そこで、議員の経歴、実績の自己申告書を提出させて(派閥からの推薦を考慮しないで)人選した。このキャリアによる人事がうまく機能するかについては、少し時間をいただきたいが、プロセスとしてはそういうものを目指している。
――新政権はどの政策課題を優先していくべきか。
小林:財政の課題については、きちんと打つべき手を打ってほしい。歳出カットと同時に増税についても議論を進めていく必要があると思う。
最もやってほしい政策課題は、年金あるいはそれに絡む医療、介護の問題だ。これは日本の競争力や国力を決めるうえで非常に重要なので、突っ込んで議論してほしい。
イノベーション(技術革新)を具体的な政策として展開していくことも重要だ。どうやって日本にふさわしい新しい付加価値の基となる技術を作っていくか、思い切った議論が必要になってくる。
――公と民間の連携で英知を政策形成に結集するカギはどこにあるのか。
御厨:政治主導と言っても、日本の政治を支えているのは官僚だ。だが、日本の官僚制の決定的な欠陥として中途採用を認めていない。民間に行くのを認め、また公共セクターに戻れるようにする。民間人も公務員として採用する。このように双方の人材が異動出来るようにすれば、適所に適材が集まってくる。フレキシブルにやっていくということではないか。
石原:安倍内閣の隠れた政策課題が公務員制度改革だ。公務員に労働基本権を付与し、厚生年金と共済年金の一元化を図るため、来年の通常国会に法案を出すと決めている。その結果が出ると、公と民の交流もスムーズになる。
――これからの時代の政治リーダーには、どんな資質が大事だろうか。
モチヅキ:国益を重視する一方で、グローバルな視野と聡明な素質をもった人物だ。片足は国のアイデンティティーに軸を置きつつ、もう一方の軸として、世界は変わるという認識に立って異なる文化、種々の価値観に寛容なリーダーシップが必要だ。
<官民人材異動 柔軟に 御厨>
――安倍政権は来年の参院選で洗礼を受けるのか、総選挙で信を問うべきなのか。
御厨:5年前の参院選では自民党が勝ったので来年はどれだけ減らすかが焦点となる。そこで安倍政権が退陣という見方もあったが、最近の感じではそうはなりそうにない。政権はスタートすると強い。しかし、衆院選の問題は別にある。前回、与党が勝ちすぎた。戦前、政友会は300議席をもてあまして自壊した。議席を持ち過ぎると締りがなくなり、政党にとりいいことはない。多少の議席減を覚悟しても解散・総選挙をすべきだ。安倍首相はある時期に果断に衆院を解散して民意を問うのが筋だ。
福川伸次氏

機械産業記念事業財団会長
1932年東京都生まれ。東大法学部卒。86〜88年通産事務次官。神戸製鋼所副社長、堂副会長、電通総研社長兼研究所長など歴任。2005年から現職。
コーディネーター総括
[国のあり方 活発な議論期待]
安倍政権は順調なスタートを切った。いち早く中国、韓国を訪問して関係立て直しに着手し、北朝鮮の核実験には毅然たる態度を示している。国内では小泉改革路線を踏襲し、さらに発展させようとしている。
世界では、アメリカの政治情勢が流動的だし、アメリカとイスラムの関係、北東アジアにおける安全保障にも不安定要素がある。日本はグローバルな視野に立って、国益を踏まえ、中長期の外交戦略を考える必要がある。
アジアは世界の成長センターで政治的にも発言権が高まっていく。域内の経済関係は緊密になっており、日本もアジアとの関係を緊密化しなければならない。その一環として日中、日韓関係をより健全化する必要があり、お互いを理解し合う努力が求められる。
安倍政権は、日本の政治をダイナミックにする挑戦の途上で誕生した。首相補佐官の積極的登用などによる官邸主導の政治、自民党の若返りによる政策論争の活発化が今進められようとしている。
日本の社会も構造改革に直面している。課題として財政や年金・福祉、教育などがある。日本の経済成長を持続させるための改革も必要だ。「美しい国」を作るために、日本のあり方についての議論がさらに活発になることを期待したい。
