マスコミ語録

メディアに掲載された石原伸晃関連記事を以下よりご覧頂けます。

マンション・住・人
<No.04 2005春号>
リフォーム倶楽部4月号別冊

石原伸晃さんの
都市住民的マンション論

  • インタビュー・渡辺恭子
  • 構成・飯田太郎
  • 写真・入江進

国会に上程される法律案には、政府が提案するものと議員が提案するものがある。後者を議員立法というが、政府提案の法律に比べると「民」らしい味わいもある。『マンション管理適正化法』(平成13年8月施行)もその一つ。「マンション」という言葉が法律用語として初めて採用されたのも、議員立法だからできたことらしい。

この『適正化法』制定の中心メンバーの一人で、その後、行政改革担当大臣、国土交通大臣としてマンション施策を担当した衆議院議員の石原伸晃さんに、一人の都市住民の目線で、大臣在職中では聞けないマンションについての本音を語っていただいた。

マンションに住むなら賃貸、というお考えだと聞きましたが。

この雑誌の主旨とは、冒頭から違うかもしれませんね(笑)。私は「保険はかけ捨て、マンションは賃貸」という考えなんです。分譲マンションで生活することは、自分たちの財産についてみんなで利害調整をすることですよね。ところが政治家という仕事をしていると、自分個人の財産に関係する利害調整をやることには、いろいろ問題があります。そんな職業柄もあって、分譲マンションを買おうとは思わないわけです。

でもね、一番下の弟は、古いマンションの理事長をやって苦労したことがあるんですよ。20年目の大規模修繕をやるといっても積立金がなかった。葉山のマンションでしたが、週末にしか来ないような人は、そのままでいいと言う。調べてみたら漏電で火災の可能性もある。エレベーターも止まっちゃう。蛇口をひねったら茶色い水が出る。弟はそういった間題の矢面に立って話をまとめたんですが、いい勉強をしたんじゃないですか。

それでも、議員立法でマンション管理適正化法をおつくりになった。

大都市では集合住宅に住む人がこれだけ多くなって、第一世代のマンションの建て替えはできない、住民の高齢化が進む、スラム化するといった間題も出てきた。ところが、私有財産のことだから、行政はあまり手を出せないわけです。なので、マンションの管理組合の方たちの取り組みを応援しようということで、この法律をつくったわけです。

例えば、治安の悪化だって前はピッキングなんて言葉、聞かなかった。問題になってきたのは、この10年くらいでしょ。チェーンや鍵をいくつも付けるなんてアメリカ映画の世界でしたよね。

オートロックのマンションが多くなりましたが、治安の面で効果がありますね。あとは防犯カメラを付けることです。これはぜひやってほしい。組合があるんですから、みんなでお金を出し合ってでも24時間回る防犯カメラを付ける。4つのカメラでずっとモニタリングするものでも50万円くらいです。セキュリティーは防犯カメラがあるというだけで各段に上がりますよ。

コミュニティーの役割も大きいと思いますが。

もちろん昔の長屋のような付き合いも必要ですね。昔の公団が管理している高島平二丁目団地では、互助会みたいなものができて、薬の受け取りとか、買い物に行ってもらうとかされているようですが、これは参考になると思います。

今、都市のマンション住人たちは、隣に誰が住んでいるかが分からない。町会の方も、マンションの人たちが町会に入っていただけないから、誰が住んでいるのか分からない。大きな間題なんですよ。災害があったとき行政の手は全部には及びませんから、町内でなんとかしなければならないんですから。

お祭りの参加もすごく滅っている。お祭りのときに子どもたちにお菓子を配ると、そのときは出てくるけれど、それ以外は出てこない。コミュニティーとしての付き合いはお祭りがあってもなかなか難しいですね。神輿(みこし)の担ぎ手さんがいないのは、どこの町でも深刻になっている。町会の方では、マンションの人たちも積極的に参加してほしいと思ってるけれど、そういう人は少ない。

都心回帰ということで、新しいマンションが増えています。

東京湾岸などで背の高いマンションが流行ってますよね。すごいですね、ここのところのブーム。貴誌の創刊号で読みましたが、高層階の人は出無精になりやすい面もあるようですね。超高層マンションに行くと景色がいいし、外を見てれば気分いいから、下に降りていくのがおっくうになって… 冷蔵庫も大きいのをデンと置いてね、食料も1週間分、簡単にまとめ買いできるし。出無精になるのも分かるなー。

僕だったら高い所にずーっと居ついちゃいますよ、好きだから(笑)。これは多分人間の心理なんでしょうね。

でも、超高層で災害にあったら悲惨ですよ。私ね、1977年のニューヨークの大停電のとき、現地のマンションの25階に住んでいたんです。真っ暗でローソクの生活。食べ物もなし。トイレも流れません。階段でふーふーですよ。1週間までいかなかったけれど、これはもう地獄でしたね。

マンション住人の防災意識は、まだまだ低いと思いますが。

マンションの防災で大切なのはリーダーの存在です。でないと烏合の衆になってしまう。消防団と同じような役割をやる人間がマンションの各フロアにいないとね。消火器って難しいんですよ、意外に。特に大きいのは、初めての人がとっさに使うなんて無理。

呉越同舟ではないけれど、たまたま同じマンションに住んだだけと言っても、やっぱり自分たちで考えないと。素晴らしい眺めを楽しむことだけでなく、自分たちのマンションは自分たちで守るという意識をもっと強く持たないとダメなんじゃないでしょうか。マンション管理適正化法も、そうした主旨でつくりました。そのために国は、この法律でマンションの管理組合をバックアップします、というものです。

ただ、これは強要できるものじゃない。あくまでもボランタリーなんですよ。日本人はこの点が弱い。家族のつながりも怪しくなってきた。本当の意味で同居してないのかもしれない。まあ、石原家の場合は家長主義で、濃いんですが(笑)。

ボランティア組織をつくるということは、欧米に比べて文化的に難しい面もありますが、マンションは共有財産だから、まず自分たちでやっていただく。分譲マンションに住むことの基本は、ここにあると思います。

▲ このページのトップへ戻る