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毎日新聞
2005年5月9日
<闘論>
郵政法案どうする
元行革担当相 石原伸晃氏
小泉純一郎首相が「改革の本丸」と位置づける郵政民営化の07年4月実現に向けて、政府は先月、郵政民営化関連法案を閣議決定した。今後、論戦の舞台は自民党内から国会に移るが、民営化への是非論は自民党内でも鋭く対立している。郵便貯金、簡易保険の見直しの必要性や法案成否の展望を聞いた。
適正規模市場の力で
郵便貯金、簡易保険あわせて350兆円という資金のボリュームは大き過ぎる。今はうまく回っているかもしれないが、10年後には分からない。だから、私は金融面から郵政民営化の必要性を主張してきた。
では、どう改革するか。日本郵政公社のまま郵貯の預け入れ上限額を現行の1000万円から500万円程度に引き下げることも選択肢としてはあり得る。しかし、そういう提案はだれからもなかった。だとすると、民営化して市場のカを使って適正な規模にしていくしかない。
公社存続は民業圧迫
公社のままでいいという考え方と、民営化して市場で郵貯・簡保の適正な姿を見いだそうという考え方は絶対に交わらない。自民党内の反対派は大詰めで公社の存続を狙った「郵政公社法改正案」を持ち出したが、これは「政府の関与を小さくして仕事をたくさんやらせてください」という「民業圧迫」の案だ。裏返すと、「このままではいずれ立ち行かなくなる」という危機感が反対派にもある証拠ではないか。
新会社間の株の持ち合いを事実上容認したことで、郵貯、保険両社への政府の関与が残ったという批判がある。確かに政府は当初、10年後に純粋に民間の銀行と保険会社を作ろうと考えていた。しかし、その時点の経済状況によっては、持ち株会社が株をすべて売却できるかどうか分からない。ある程度の持ち合いを認めるのは、むしろ企業体として一般的な姿と言える。
4月27日の自民党総務会は、法案に修正の余地を残して国会に提出することを了承した。一方、反対派は「党議拘束はかかっていない」と主張している。賛成、反対両方の顔を立てたからこそ大きな混乱にならなかったが、このあいまいさは法案審議の過程で焦点になるだろう。党内には「民営化は公約していない」という意見さえある。しかし、小泉内閣である以上、世間はそうは見ていないという現実も忘れてはならない。
郵政民営化の道筋はついたが、郵貯、簡保の資金が流れ込む特殊法人の改革は残っている。政府系金融機関の改革には手がついていないし、特殊法人から移行した独立行政法人も絶えず実態を検証し、スリム化する必要がある。これで小泉改革が完結したわけではない。
【構成・中田卓二】
