メディアに掲載された石原伸晃関連記事を以下よりご覧頂けます。
新春座談会
実力派議員有志・日本の明日の
自動車産業を語る
Mobi21 新時代の自動車総合オピニオン誌
vol.28 2005年1月・2月号

(上写真左から岸田、大村、石原の各議員)
○●石原伸晃さん(衆議院議員)
「産業の空洞化が言われているが、(日本には)自動車はもちろん、他にも液晶ディスプレイ産業を支える特殊素材合成に優れた材料産業、精密微細加工に秀でた機能性部品産業など、ものづくりの基盤となる先端産業がまだ多く集積している。この背景には技術開発に真摯に取り組む技術者や、環境変化をバネに挑戦する企業家の存在があり、他の追随を許さない技術の蓄積を育んでいる」
●○大村秀章さん(衆議院議員)
「環境問題の大切さは国民共通の認識。自動車産業界を始め、日本は過去の公害や排ガス問題を経て環境技術を磨いてきた誇りと矜持がある。とくに自動車産業は燃費向上技術やハイブリッド車など、世界でもっとも抜きんでた環境技術を持つ。税金はあくまでも最後の手段。(環境税導入の)国民的なコンセンサスを得るにはまだ時期尚早ではないか」
○●岸田文雄さん(衆議院議員)
「隣国である中国とどういう付き合い方が望ましいか。政治と経済で温度差が出てしまった現状で、どのように接していくべきか。決して生易しい問題ではないが、お互いもっと理解を深め合うような取り組みが必要だ。自動車で言えば、中国の人たちがどのようなクルマに興味を持つのか、環境問題とも絡む今後の大きなテーマだと思う」
鋼材不足。合理化、効率化追求の弊害が出てきたのかな・石原
日本発、世界一の技術をもっとアピールしていこう・大村
まず、目本の自動車産業について、現状をどう認識されていますか。

岸田:私の地元は広島ということもあり、マツダをはじめ、地域産業における自動車の存在感の大きさは十分に認識している。かねて問題が指摘される税額にしても自動車諸税9種類で、年間8兆9000億円の税収があるなど、さまざまな切り口からみて自動車が日本におけるリーディング産業であるのは論を待たない。05年以降の日本経済を展望するうえで、自動車産業ぬきでは語れないし、自動車産業という切り口から日本経済を考えていく必要があるでしょう。
石原:最近の動きでもっとも懸念しているのは鋼材が不足しているということです。これは中国需要の拡大もあるが、日本国内で産業構造の転換が進んで、十分なストックを抱えることを各事業体がしなくなったところにも原因のひとつがあるように思う。合理化、効率化を追求しすぎるあまりに、弊害も出てきているのかなと。このあたりのところは今後も注意深く見守っていきたい。自動車技術では日本メーカーの優秀さで、さらに希望の持てる動きも出てきている。例えばポルシェがトヨタのハイブリッド技術を採用したり、来日したカリフォルニア州のシュワルツネッガー知事がハイブリッド車の生産を求めるという明るい動きもありましたね。
大村:世界的なグローバル商品である自動車に日本が最大限の強みをもっていることは経済、産業の分野だけでなく、国際的にも日本の地位を高めています。日本発で世界一という冠がこれほどかぶせられる業種もない。一例をあげても、ハイブリツド、ディーゼル技術で世界のトップランナーであり、カーナビ搭載1500万台、ETC300万台など、これも世界一です。環境技術、情報技術で世界をリードしているわけで、自動車メーカーは日本を環境、情報開発の拠点として、世界にますます活躍のフィールドを広げていくのではないでしょうか。05年1月から、自動車リサイクル法もスタートしますが、これもジャパンモデルとして世界に胸を張って、発信していけるシステムだと思う。
04年10月にはITS(高度道路交通システム)が名古屋で開かれました。ここでも日本の将来技術に対する期待が高まっていますが。
大村:これからのクルマ社会のあるべき姿を示して、大変に興味深い。たった一人乗るのに、1トンのクルマを動かすようなムダが横行する現状は早々に改めるべきではないか。交通渋滞の解消や、ゼロエミッション化を進めていくと、将来、ドライバーの行き着く先はクルマの電脳化にあるのではないかとさえ思われます。例えば、孫悟空の″キント雲″のような、そんなクルマが現れてくるかも知れませんね。
岸田:私自身、第二次小渕内閣時代、建設政務次官をつとめ、カナダ・トロントのITS世界会議に日本代表として参加したことがある。今後、さらに進展するだろうITSにはわれわれのライフスタイルを変える可能性を持つでしょう。
これからの新技術には大きな興味を抱いているし、環境や安全性にも大きく貢献してくることを期待している。世界のなかで、この分野を筆頭に日本がデファクト・スタンダード確立に向けて、官民挙げて努力を続けなければならない。
石原:国交相時代、直に接したことだが、カーナビやVICS(道路交通情報通信システム)、ETCの急速な普及があり、また自動ブレーキシステムなどを搭載したASV(先進安全自動車)の商品化などもピッチを早めている。ITS世界会議では、これらの取り組みが紹介され、日本のITS技術の高さが国際的にも証明されました。こうした先駆的な技術で、リーダーシップを発揮し、世界の市民生活にも浸透できるように行政もバックアップしていきたい。
早めたいインドとのFTA交渉。中国を牽制する意味合いも大きい・大村
中国の台頭に、日本では脅威論もかまびすしい。今後、どう向き合っていくことになりますか。

石原:中国は世界経済との関係が深まるのに伴い、税制など各種施策の透明性確保、知的財産の保護、インフラ整備などに関する課題や、人民元レート、エネルギー不足などの課題が指摘されている。日本が中国における事業展開で成果を上げていくには、そうした指摘されている課題解決に向けて、双方が重要なパートナーとして誠実に向き合うことが求められるでしょう。環境でみれば、中国には負荷がかかりすぎではないか。そういうところに日本の自動車メーカーの先端技術で、負荷を減らしていくことができれば、中国の人たちにも分かりやすく、(日本企業への)理解を進んでいくと思う。05年以降、技術ではとくに自動車の分野で、日本の先端技術を中国だけでなく、世界に伝播していけるようになればいいですね。
岸田:2010年には1000万台市場とも言われるほど、中国の自動車産業には勢いがあるようだ。隣国でもある中国とどう付きあっていくのか。政治と経済で温度差が出てしまった現状で、今後の望ましい付きあい方を見極めていかねばなりません。経済的には広大な市場であり、競争相手であり、またパートナーでもあり、これからますます大きな存在になる。冷えきったいまの政治関係を修復して、政経のバランスを保つことが重要だ。自動車では(さらに普及していくのに伴い)、中国の人たちがどのようなクルマに興味を持つのか、地球規模の環境問題とも絡んでくるだけに、大きな関心事でもある。
中国を含めて、アジア各国とのFTA交渉も具体性を帯びてきています。自民党内の推進役で、FTA特命委員会事務局長でもある大村さん、現状の取り組みはいかがでしょうか。

大村:05年春発効見通しにあるメキシコに次いで、タイ、マレーシア、フィリピンの東南アジア3国との間で個別交渉が進行中です。メキシコでもそうであったように、個別交渉はなかなか一筋縄ではいかない。韓国との交渉も控えており、アジアではインド、インドネシアもFTA対象国として浮上してくる。とくに大国インドは、自動車など市場のポテンシャルは相当なもの。日本とは農産物問題の壁もないので、比較的取り組みやすい。また、中国を牽制する意味合いも大きいでしょう。インド、インドネシアは交渉に入れば歩み寄りは早いと思う。
京都議定書発効を契機に、またぞろ自動車ユーザーや消費者に加重を強いる環境税導入論議が起きています。それでなくても自動車業界は05年以降、現状の複雑怪奇な自動車諸税の見直し要望には一段と本腰を入れる構えですが。
石原:道路特定財源は08年度の長計(社会資本整備重点計画)まで決まっていますから、すみません(笑)。ただ、現状の自動車諸税については私自身、国交相就任会見時でも述べたが、100万円のクルマに40万円も税金がかかるのはおかしな話。全体としてはもっとシンプルにすべきでしょう。
大村:私も税調の場ではそう申し上げている。9種類9兆円という現状を踏まえ、トータルで見直しを図るべきだ。ただ、受益者負担のもと、道路特定財源の一部を環境税のような環境対策に振り向ける、という話なら議論する価値はあるでしょう。そうした議論がないまま、新たな負担を強いるのは納得できない。
岸田:地球温暖化防止が人類にとって重要課題であるのは言うまでもない。わが国の現在の環境政策をしっかりと検証したうえで、さらなる政策を強力に推進していかなければならない。国民に増税をお願いするのは、そうした政策推進のあと、なお不十分であった場合、考えるべきことではないでしょうか。
大村:(環境税導入の動きは)ロシアの京都議定書批准が確定したこともあって、環境省は温暖化対策の重要性が再認識された空気に乗ったのだろう。もちろん、環境問題の大切さは産業界や国民共通の認識です。ただ、自動車産業界をはじめ、日本は過去の公害や排ガス問題を経て環境技術を磨いてきた誇りと矜持がある。とくに自動車は燃費向上技術やハイブリッド車など、世界でもっとも抜きんでた環境技術を持つ。税金はあくまでも最後の手段。国民的なコンセンサスを得るには時期尚早でしょう。
競争カ強化に、日本は守りではなく攻めの姿勢を・岸田
不断の努力の生産現場。日本の優位性が崩れることはない・大村

日本のものづくりの危機が言われていますが。
石原:確かに産業の空洞化が言われて久しい。しかし、自動車はもちろん、他にも例えば、液晶ディスプレイ産業を支える特殊素材合成に優れた材料産業、精密微細加工に秀でた機能性部品産業など、ものづくりの基盤となる先端産業がまだまだ集積している。いまブームのデジタル家電の分野でも、差別化、高機能化で、需要を喚起し、高収益を上げるための研究開発や設備投資、ブランド力強化への取り組みが絶えることがない。
こうした背景には技術開発に真撃に取り組む技術者や、環境変化をバネに挑戦する企業家が育んだ長期的信用、評価を重視する産業文化がある。消費者の高い要求に応えるものづくりの姿勢が他の追従を許さない技術の蓄積を生んでいるのだと思う。
岸田:日本のものづくりの基盤はしっかりしている。しかし、量や価格のみの競争ではアジア各国に太刀打ちできないのも確か。いかに技術や製品に、付加価値を高めていくか、同時に知的財産権をいかに保護していくかが、ポイントになってくるでしょう。さらに強固にするためにも、技術開発、経営革新など、あらゆる面で守りではなく、攻めの姿勢を維持していただきたい。
大村:私の地元、愛知はご承知のようにトヨタをはじめ、自動車企業が集中しています。東海ということになればスズキやヤマハ発動機といった大手メーカーが部品企業も含めて群をなしている。それだけに自動車の企業トップの方々とも話をさせていただく機会も多く、自動車産業の実情は肌身で感じているところです。いつも感心させられるのは、トップをはじめ、生産現場は不断の努力が重ねられているということ。日本のものづくりの原点を見る思いです。このことが世界のなかで、一日の長をもたらして、競争力を高めている。油断は戒められなければならないが、日本の優位性が崩れることはないと確信しています。
貴重なご意見をいただき、本日はどうもありがとうございました。
- ◇石原伸晃(いしはら・のぶてる)
- 慶大卒、日本テレビを経て1990年(平成2年)の衆院選で初当選。党財政部会長、通商産業政務次官、行革担当大臣、国交省大臣などを歴任。47歳
- ◇岸田文雄(きしだ・ふみお)
- 早大卒、1993年(平成5年)衆院選で初当選。文部科学副大臣、建設政務次官、自民党青年局長などを歴任。現在は党経理局長、衆院文部科学委員、イラク特別委員などをつとめる。47歳
- ◇大村秀章(おおむら・ひであき)
- 東大卒、農林水産省を経て1996年(平成8年)の衆院選で初当選。経済産業大臣政務官、内閣府大臣政務官などを歴任44歳

