マスコミ語録

メディアに掲載された石原伸晃関連記事を以下よりご覧頂けます。

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WEEKLY TRAVEL JOURNAL
臨時増刊号

「いまなぜ“観光”
なのですか?」

スペシャルインタビュー
石原伸晃 観光立国担当大臣
聞き手◎紺野美沙子さん(女優)
担当:佐藤淳子
撮影:清水輝正

■ 観光立国実現に求められるのは強いリーダーシップです

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紺野:今日は、観光立国への取り組みについてお聞きしたいと思っています。石原大臣は、昨年9月に観光立国担当大臣に任命されましたが、具体的にはどのような役割を担っていらっしゃるのでしょう?

石原:観光立国担当大臣は、小泉内閣で初めて設置された役職です。ご存じのように、小泉総理は施政方針演説の中で「観光立国」を目指すことを宣言しましたが、その実現のためには強いリーダーシップが必要です。観光推進はひとつの省だけでできるものではありません。関係省庁との連携や協力を強化することが不可欠です。また、外国との関係を深めることも大切でしょう。こうした諸々のことを、強いリーダーシップで進めていくことが観光立国担当大臣の役割だと考えています。言い換えれば、日本が観光立国に向かって進めるかどうかは、「よし、やろう」と言えるリーダーシップにかかっているともいえるんですね。

紺野:観光にかかわる初代大臣として着手しなくてはいけないことがいろいろおありと思いますが、優先事項は何ですか?

石原:まずは、昨年1月に小泉総理が施政方針演説の中で掲げた「日本への外国人旅行者数を、2010年までに1000万人にする」という目標の実現に向けた活動です。

紺野:いま、日本を訪れる外国人の方は何人くらいなのですか?

石原:03年度(03年4月〜04年3月)は535万人です。前半にSARSの問題があり苦戦しましたが、ワールドカップが開催された02年度(02年4月〜03年3月)の訪日外国人数531万人を超えました。

紺野:1000万人に伸ばすというと、まさに倍増計画ですね。

石原:そうなんです。昨年は、訪日外国人のトップ5である韓国、台湾、アメリカ、中国、香港を重点地域に指定して誘致活動をしました。今年は新たにイギリス、ドイツ、フランスを対象国に加えてプロモーションを進めているところです。6月にはフランスとドイツを訪れ、現地の大使館へ政府関係者や観光関係者をはじめ多くの方々をお招きし、「日本は本気で観光立国を進めようとしている」とアピールしてきました。

紺野:海外に日本を紹介する場合、いち押しの魅力はどのようなところでしょう?

石原:まずは温泉ですね。いま、世界的にスパブームでしょう?アジアの人だけではなく欧米の人にも人気があります。それから、雪を見たことがないアジアの人には雪も観光の要素になります。“日本通”の人のためには、「地吹雪体験ツアー」なんていう企画もありますよ(笑)。

紺野:食も魅力のひとつではないですか?日本ほど、ありとあらゆるいろいろな味が楽しめて、しかもそれぞれが高水準という国はないのではないかしら。秋葉原の電気街だけじゃなく、ユニクロやドンキホーテ、100円ショップなども外国の方に人気ですよね。ユニークな買い物体験も日本の魅力だと思います。

■ 富士山のふもとの美しい湧き水を外国人旅行者は知りません。

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紺野:日本人向けの海外旅行商品は非常に多彩ですが、外国人の方にとって日本を旅行する際の観光要素も多様化しているのですか?

石原:残念ながらまだだと思いますね。ヨーロッパの人たちのなかには、日本に非常に造詣の深いリピーターの方たちがいて多様な旅行を楽しんでいますが、アジアの人たちにとっては定番のパッケージツアーが主流でしょう。

紺野:訪日外国人倍増計画を進めるにあたっては問題もあるのでは?まず解決しなければならない問題は何でしょう?

石原:ある国の大使が「日本人は親切だ。でも日本という国は親切ではない」と言っていました。残念ですが、その通りなんです。交差点の表示が漢字だけであれば、中国人以外の外国人旅行者は読めません。ワールドカップ開催地ではある程度改善されましたが、そのほかの地域でも、最低、英語、中国語、韓国語の3カ国語の表記は増やしていく必要があります。また、空港の入国審査の問題やビザの問題など、これまでなかなか改善がなされてこなかった問題も少なくありません。いま、こうした課題に着々と取り組んでいて、たとえば、入国審査の行列は、入管の柔軟な対応により以前より短くなりました。また、韓国や中国へのビザの発給についても拡大が図られています。さらに、今年4月に民営化した東京メトロでは、パリにならって駅名をナンバリングするようにしました。東京には、外国人旅行者向けの無料観光案内所を100カ所以上設けています。

紺野:言葉の問題は大きいですよね。

石原:そうですね。たとえば山梨県富士吉田市は中国人旅行者を誘致していて、河口湖には観光客が大勢訪れています。ただ、忍野八海などの観光スポットに日本語以外の表示がありません。富士山のふもとに美しい湧き水があることを多くの外国人旅行者は知らないのです。せめて英語、中国語、韓国語の表示がほしい。政府でも、観光立国の実現に向け、日本の魅力・地域の魅力の確立、日本ブランドの海外への発信、観光立国に向けた観光整備を3本の柱として取り組んでいるところで、来年度の予算要求においても、ビジット・ジャパン・キャンペーンによる海外発信の強化に加え、その受け皿となる観光地づくりへの支援も積極的に行っていこうと考えています。

紺野:日本国内を旅行していつも思うのは、町並みがどこも同じように見えることです。もっと地域色が強く出てくれば、さらに魅力的になるのにと残念。まずはいまあるものをしっかりと守って、観光価値を高めていくことも大切なんじゃないでしょうか。こうしたことは民間レベルではなかなか難しいので、行政レベルでぜひがんばってほしいと思っています。

■ 身近な町に多くの旅行者が訪れたら自信や誇りを感じませんか?

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紺野:とても基本的なことですが、国としていまなぜ観光にカを入れているのか、あらためてお聞かせいただけますか?

石原:世界的にグローバリズムが進展していますよね。そのなかで、国際観光交流を通じて国と国が互いに理解し合うことは、日本の外交政策や安全保障に大きな貢献をすると考えています。観光交流が拡大すれば、海外の国々に日本という国を正しく認識してもらうことができます。観光立国担当大臣の設置は、まさにこうした考えを反映したものです。

紺野:国際観光交流ということであれば、日本からはすでに多くの人が外国に行っていますよね。

石原:そうですね。いま、日本人の海外における消費額は267億ドルです。一方、外国人が日本で消費する額は35億ドルにとどまっています。つまり、国際旅行収支として考えると、230億ドル(約2.9兆円)もの赤字です。国を挙げて日本の魅力を世界に発信することで、観光地としての日本のイメージが高まれば、おのずと訪日外国人旅行者の数は増えるでしょう。そうすれば、現在のアンバランスな国際旅行収支も是正されていくはずです。

紺野:外国の人が来ることによってどれくらいの経済効果が期待できるのですか?

石原:生産波及効果が49.4兆円、労働創出効果が398万人と計算されています。日本の経済活性化に非常に大きく貢献することは確かです。

紺野:地域再生や町づくりにもつながりますよね。

石原:その通りです。自分の身近な町に多くの外国人旅行者が訪れたら、自信や誇りを感じませんか?観光立国の実現は、まさに「住んでよし、訪れてよしの国づくり」なのです。まずは、そこに住む人がその国や地域を愛し、そこを訪れる旅行者に自信をもっておすすめできるようでなければならない。魅力的な土地なら、外国人だけではなく日本人も訪れるはずです。そうすれば地域は活性化し、日本経済の再生にも大きく貢献することになるでしょう。

紺野:日本経済における観光産業の位置付けも大きく変わっているということでしょうか。

石原:小泉総理の施政方針演説でも、観光は政府の重要な政策課題として位置付けられています。01年には、観光に携わる民間企業が横断的に連携することを目的とした「日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)」が設立されましたが、これは、観光産業が旅行業やホテル・旅館業といった狭い意味での観光業にとどまらず、運輸業や小売業、飲食業などの観光関連産業を含む広い範囲のツーリズム産業として認識されるようになってきた証しといえるでしょう。経済界でも、観光は地域再生や経済活性化に資する重要なテーマとして認識されています。今年5月の日本経団連総会で、奥田碩会長が「観光振興は、今後の地域再生を担い、日本経済全体の活性化や雇用の拡大にも資するものとして期待されている」と挨拶されました。こうした発言からも経済界からの期待の大きさがわかると思います。

■ 観光産業は21世紀の基幹産業、その自覚を強く持ってほしいですね。

紺野:お話をうかがっていると、観光立国宣言は、日本にさまざまな意味で影響をもたらしそうですね。

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石原:そうです。日本国内について言えば、たとえばビジット・ジャパン・キャンペーンのように官民一体となった取り組みを進めることで、官民の強力な協力関係が築けます。訪日外国人旅行者を通して、日本人が見過ごしていた日本の魅力を発見できるかもしれません。そうすれば、あらためて日本人である誇りと自信を持つことができるでしょう。また、メディアなどを通して世界に日本ブランドを発信することで、「産業大国」や「ものづくりの国」という旧来の日本のイメージを刷新し、日本の新たな面をアピールすることができるはずです。さらには、欧米からの旅行者の拡大といった目的を共有することで、中国や韓国などアジア諸国との連携もより強固なものにできるでしょう。

紺野:観光を通じて、日本という国の品格を育てていく、まさにそんな時期なのかもしれませんね。21世紀において観光産業が果たす役割はますます重要になりそうです。最後に、観光立国実現に向けて、観光業界に求めることは何でしょう。

石原:すでに述べたように、観光がもたらす経済効果や雇用促進効果は大きなものです。また、観光交流の拡大は、世界の国々の相互理解を進めていきます。こうしたことを考えれば、観光産業は21世妃における基幹産業のひとつになることは確かでしょう。ただ、日本の観光業界を見ていると、そのような認識がまだ足りないのではないかと思います。 来訪者の増加など共通の目的をもって、地域や業種を超えた連携を深めることで、さらに観光産業全体の価値を高めていくことが大事ではないでしょうか。そのためには、フランスやスペインなど、観光を通じて大きな利益を上げている国や、日本国内で成功を収めている観光地などに学び、地域の特性に合わせた方法を模索していくことも必要でしょうね。旅行業界にも、内外の旅行者のニーズに的確に対応した商品の開発や、これまでに蓄積したデータや経験をもとにした観光資源の開発などを通して、これまで以上にカを発揮してほしいし、観光地の魅力を高めるためにがんばっている地方自治体や関係業界のコーディネーターの役割にも大いに期待しています。

紺野:今日は本当にありがとうございました。

●紺野美沙子
慶應義塾大学文学部卒業。1979年、『黄金のパートナー』で映画デビュー。NHK連続テレビ小説『虹を織る』主演。テレビ・映画・舞台に活躍する一方、著作活動も行い、95年サイエンスエッセイ『空飛ぶホタテ』で日本文芸大賞女流文学賞を受賞。98年国連開発計画(UNDP)親善大使の任命を受け、カンボジア、パレスチナ、ブータン、ガーナ、東ティモールの視察を行うなど国連大使としても活動する。

観光立国に向けた政府の動き

2003年
1月31日 小泉総理が施政方針演説で「2010年までに訪日外国人旅行者数を1000万人に増やす」ことを目標に掲げる
3月26日 第1回ビジット・ジャパン・キャンペーン実施本部会合開催
3月28日 平成15年度予算成立。ビジット・ジャパン・キャンペーン関係で新規に20億円の予算を確保
4月24日 観光立国懇談会報告書取りまとめ(第4回観光立国懇談会)
7月31日 観光立国行動計画の決定(第2回観光立国関係閣僚会議)
9月22日 石原国土交通大臣を観光立国担当大臣に任命
11月30日 羽田/韓国・金浦間にチャーター便を就航。第一便で石原大臣が訪韓、ソウルにて「日韓観光のタベ」を開催
12月1日 在広州総領事館において訪日団体観光ビザ受付開始
12月17日 成田空港における入国審査手続きの混雑緩和対策を実施
2004年
1月19日 小泉総理が施政方針演説で「住んでよし、訪れてよしの国づくり」の実現のため、観光立国を積極的に推進することを宣言
2月18日 首相官邸に12の国と地域の駐日大使等を招き、「観光政策に関する観光大国・地域の大使等との懇談会」開催
3月1日 韓国からの訪日修学旅行生のビザ免除の実施
3日26日 平成16年度予算成立。ビジット・ジャパン・キャンペーン関係で、前年比60%増の32億円の予算を確保
4月1日 香港からの短期訪日観光客のビザ免除の実施
4月5日 中国からの訪日修学旅行生および引率者である教職員に対するビザ手数料免除
4月5日 アセアンの大学生に対するビザ手数料免除
4月12日 韓国からの訪日修学旅行の引率者である教職員に対するビザ免除
4月22日 第2回ビジット・ジャパン・キャンペーン実施本部会合開催
5月24日 観光立国推進戦略会議第1回会合開催
6月9日 小泉総理と韓国の盧武鉉大統領が、日韓国交正常化40周年である2005年を「日韓友情年2005〜進もう未来へ、一緒に世界へ〜」とすることで合意
6月18日 パリで、ビジット・ジャパン・キャンペーン推進会および「日仏観光のタベ」を開催
6月21日 ベルリンで、ビジット・ジャパン・キャンペーン推進会および「日独観光のタベ」を開催
7月22日 2005年を「日韓共同訪問の年」とすることを韓国と共同宣言、女優の木村佳乃さんを観光広報大使に任命
7月26日 観光立国推進戦略会議第2回会合開催
9月1日 中国からの訪日修学旅行生のビザ免除の実施
9月15日 中国からの団体観光ビザの発給対象地域の拡大(従来の北京市、上海市、広東省に、天津市、江蘇省、浙江省、山東省、遼寧省を追加)

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