マスコミ語録

メディアに掲載された石原伸晃関連記事を以下よりご覧頂けます。

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NAVI 2004年4月号

「2020年に燃料電池車500万台」は本気でやります

クルマ好きの大臣と語り合った、 裕次郎の300SL、次世代自動車、そして道路問題

NAVIの看板であるNAVIトークは、今月号から生まれ変わる。

1984年10月号に誕生したNAVIトークは、徳大寺有恒、舘内端の両氏と本誌編集長だった大川悠の3名で、座談会方式で行ってきた。それぞれの世界観に基づく自由な論評が、自動車批評をハードウェア評価の牢獄から解き放ち、ライフスタイル商品としてのクルマを語る「言葉」を生み出してきたのである。

創刊から20年を経て、クルマが置かれている環境は激しい変化の時を迎えている。性能的にも生産規模の面でもひたすら拡大を続けてきた自動車産業の姿に懐疑の声が聞かれ、内燃機関に代わる動力源の導入が現実的スケジュールにのぼっている。我々ユーザーの側も、その変化に対応するすべを見つけなければならない時期を迎えている。

そこで、新たな「言葉」を獲得するために、NAVIトークは広く社会に開かれたユニットとなる。2年前からメンバーに加わった渡辺敏史氏をホストとし、毎回テーマに即したゲストを迎えて、座談を行っていく。

第一回のゲストは、国土交通大臣の石原伸晃氏である。これから10年の間に起こる自動車を包む環境の変化には、行政の取り組みが大きな意味を持ってくる。

続いての第2回には、プレイステーションのグランツーリスモシリーズを作ったポリフォニー・デジタルの山内一典氏と、GT-Rの商品開発を行っている日産の田村宏志氏に登場していただき、10年先のドライビングプレジャーについて考える。

NAVIが30周年を迎える2014年、クルマはいかなる姿になっているのか。新しいNAVIトークは、その問いから始まる。

聞き手=渡辺敏史+鈴木真人(本誌)、写真=岡田茂

オジキが300SLに
浅丘ルリ子さんを乗せてきた

鈴木真人:今日はお忙しいところ時間を設けていただきましてありがとうございます。

石原伸晃:いえいえ。よく拝見してますよNAVI。家の近所のTSUTAYAでね、ル・ボランなんかと読み比べて悩んで結局立ち読みで……なんて(笑)。恥ずかしながら。

鈴木:これからは、ぜひ買っていただきたい(笑)。

渡辺敏史:実は結構クルマ好きだったりします?

石原:そうですね。オヤジやオジキがクルマ好きだったという環境で育ちましたから、やっぱり自然と興味がいくようになったかな。

鈴木:叔父といえば裕次郎さん。

石原:よく遊びに来てましたよ。あのメルセデスにもよく乗ってきてましたね。

渡辺:300SL、普段乗ってたんですね本当に。それはすごい。

石原:僕がまだ子供の頃、浅丘ルリ子さんを300SLに乗せてきたんですよね。あの時の事は印象に残ってるなあ。カッコよかった。

渡辺:……それはどうリアクションしていいのかさっぱり見当がつかない(笑)。

石原:でもね、大変そうだったなあ、やっぱり。僕もよく乗せてもらいましたが、夏場なんかもう冗談じゃあないくらいに暑くて、それでもオジキは短パンで頭にタオル巻いてね。やせ我慢だったのかもな、あれは。

鈴木:今のエンスーにはみられない根性話ですねえ。じゃあお父さんもさぞや……。

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石原:当時、あれは多分トライアンフのTR3か4だったかと思うんですけどね。乗せられた時におかしかったのが、チョークを引いてエンジンをかけるでしょ。そしたら振動でチョークがスポッて戻っちゃうんですよ。で、暖気ができないからっていつもそのノブのところにマッチ棒差し込んでたんですよ。クルマって面倒くさいんだなあと子供心に思いましたね。

鈴木:それは今でも十分通用するエピソードですね(笑)。

石原:で、今日はこんな話でいいわけ?

渡辺:いや、今日は敢えて道の話はやめとこうかと思いまして(笑)。

事故や渋滞を減らせば、
経済的な損失が減少する

鈴木:20世紀は産業や文化として自動車の時代と括られることが多いわけですが、果たして21世紀もそういう状況が続くのだろうか。あるいは日本の自動車産業はどうあるべきなのか。まずはそのあたりで国土交通大臣としての見解を伺いたいと思います。

石原:とりあえず、20世紀は自動車の世紀だったというのは間違いのないところでしょう。日本も戦後の経済成長とモータリゼーションの発達が密接に関わってきた。

これだけ成熟したと思われる現在も、国内の保有台数や走行台キロは伸びてるんですよね。

渡辺:でも一方で、色々なネガも生まれ続けているわけで。

石原:そう。交通事故や慢性的渋滞、大気汚染や二酸化炭素排出による温暖化、そういう負の側面が顕在化してきたわけです。さらに20年後くらいには現在の保有台数等の増加はピークに達するとみられている。クルマはこれからも必要なものであることは自明ですが、今後も生活の利便性とともに発展し続けるためには、これらの問題や矛盾をできるだけ速やかに解決することが不可欠なんです。

渡辺:もはや自国の繁栄というエゴを通しきれる状況ではないと。

石原:全然。もうできるだけ早くなんとかしないとならない状況です。

鈴木:そこで自動車メーカーに望むことは?

石原:環境に対する取り組みは一生懸命やってもらっていると思います。超−低排出ガスのクルマもここ数年で本当に増えましたし、ハイブリッドのような次世代の動力源も積極的に展開している。世界に誇れる話でしょうこれは。加えて我々としては、ITの進化に呼応した自動車の利便性の向上を考えていきたいと思ってるんですね。

渡辺:ITS(intelligent transport system=高度道路交通システム)、ASV(advanced safety vehicle=先進安全自動車)関係。

石原:そうです。高度な交通環境を組織することで事故や渋滞を減らすことができれば、それは経済的な損失の減少にも繋がる。そのための環境作りは我々の仕事ですが、そのあたりは自動車メーカーにも不断に研究を続けていただきたいと思いますね。もちろん環境対策とともに。

プライベートカーは、
エスティマ・ハイブリッド

渡辺:一方で、国交省側にも期待されていることはある。たとえば自動車メーカーのエンジニアと話をすると、認証関係の不満はよく聞かれます。

石原:確かに作り手の話として、それはあるかもしれないですね。ただし我々としてもそこは責任を負うべきところだけに、慎重に精査する必要はあります。でも、意外とフレキシブルに対応しているつもりなんですけどね。

渡辺:仕事のやりやすさみたいなところっていかがです? 国交省の場合。

石原:うちの中だけでいえば、感心するほどスピーディに事は進んでいますよ。

鈴木:じゃあ、外が大変とか。

石原:そりゃあもう、ねえ(笑)。

鈴木:たとえば次世代の新燃料自動車を普及させていく上で、障害になっていることは色々ありますよね。

石原:水素関係の取り扱いに関する技術的課題や法規改正などという課題は、産官学で総力を結集して掛からないとならない。我々としても燃料電池自動車に対する期待は特に大きいわけです。2010年には5万台、2020年には500万台という明確な普及目標も政府で掲げていますし。

渡辺:500万台とは大きく出ましたねえ。

石原:だからそのための協力はもちろん惜しまないし、我々としても適切な支援策を講じていかないとならないと思っています。あと、大型ディーゼル車に代わる次世代低公害車の開発と普及、これについては既に具体的な動きが始まっていますね。

鈴木:ところで大臣は現在、プライベートではエスティマ・ハイブリッドに乗られているんですよね。

石原:そうです。その前はプリウスに乗ってました。プリウスは都内一号納車だと言われましたね、ディーラーに(笑)。

渡辺:その、プリウスの前は何に乗られて?

石原:クラウンですよ。いつかはクラウンってえのをやってみたくてね(笑)。

渡辺:そこからプリウスに乗り換えた時って、どんな感想でしたか?

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石原:最初はね、ちょっと失敗したかなと思いましたね。でもそれは乗り心地の面で。かなりフワフワしてたから子供が酔うとか、そういうことが思い浮かびましたよ。あと、動力性能もちょっと足りないかなあと。燃費は確かに良かったんですけどね。

鈴木:先日モデルチェンジした新型のプリウスは、そのへんの不満をあらかた解消してますよ。もう普通のクルマよりも機敏に走れるくらいですから。

石原:それで燃費もいいんですか?

渡辺:先代より、2割は向上してますね。

石原:そりゃあすごい。やっぱり、そういう技術を積極的に表に出していくことって大切ですよね。日本はもの作りの面でまだまだ世界を牽引出来る要素をたくさん持っているわけですから。

渡辺:ちなみに公用車はセンチュリーで?

石原:4月に入れ替えでCNG仕様のモデルになります。そうそう、省庁の公用車はここ数年で本当に変わりましたよ。駐車場をみてもらえばわかりますが、シルフィやプレミオのような効率の良い超−低排出ガス車が一気に増えました。総理も所信表明で言ってたでしょ、低公害車の積極的導入って。これは小泉内閣の構造改革のひとつの現れかもしれませんね(笑)。

ETCの通信機能を使って
カーナビの官民共同実験を

鈴木:先ほどITSの話が出ましたが、やはり国交省としては、これからの自動車にとって、それらのシステムは必携になるだろうという考えなんですよね。

石原:渋滞による経済損失の膨大さや、事故を減らすという命題を考えるとこれはひとつの理想的解決策だと思っています。

渡辺:とりあえずETC普及が急務と。

石原:国交省としてはデジタル地図データベースを民間の地図メーカーに提供したり、VICSサービスを充実させるなどして、カーナビゲーションの普及を促進してきた、これは一定の効果を得ていると思います。となると、次はETCの普及ですよね。

鈴木:先日、新たなモニター割引も募集されていましたが。

石原:第一回のケースがあっという間に枠が埋まったでしょ。あの時、うちの妻も申し込んでたんですよ。でも漏れちゃってね(笑)。

渡辺:それで第二弾を?

石原:そんなわけないでしょう(笑)。公共性の高さや国民の評判を考えるとこれは積極的に進めた方がいいと。そんな意味では国交省の仕事がスピーディって話もわかるでしょ。

渡辺:でも、ETCはノンストップで便利という、その先が国民には見えてきません。

石原:とりあえず平成20年を目標に考えているのが、都市高速の対距離料金制ですね。利用程度に応じた公平負担という考え方がETCによって大きく前進することになる。あと、ETCの通信機能を使ってカーナビ等の端末に各種情報を提供するというサービスも来年には実現したいと思っています。実は今年の10月に名古屋でITS世界会議というのがあるのですが、そこで官民共同実験という形でそれを披露する予定です。

鈴木:さらに、ASVの通信デバイスとしても機能する日がくるかもしれない。

石原:先の認証の話もそこに繋がるかもしれませんが、ASVは難しいところがたくさんある。ただ、実現すればこれは大きい。事故が減るということは、数字に換算できない大切なものを皆さんにもたらすわけですから。

新しい道路をまったく
作らないというわけじゃあない

渡辺:大臣室って、思ったより低い階にあるんですね。でも、ここからだと表の交通の流れがよく見えます。

石原:いろいろ考えるにはいい場所ですよ。

渡辺:道のこともつい考えたくなりそうな。

鈴木:それは今回はなしということで(笑)。

石原:いやいや、道路はね、まったく作らないという話じゃあない。そのへんが誤解されがちなんですが、新しい道路は必要なんですよ。

鈴木:必要か否かの線引きの問題ですか。

石原:たとえば日本は道路の整備状況って、諸外国に比べて遅れているわけです。高規格幹線道路、まあ俗に言う高速の整備計画延長に対する供用距離の比率で言えば、日本は60パーセント。ドイツは87パーセントに達しています。さらに、環状道路の整備状況は欧米に比べると決定的に遅れていて、首都圏では計画の23パーセントしか供用されていない。パリは84パーセント、ロンドンに至っては100パーセントですからね。

渡辺:なんだかんだ言っても、道路は産業を通じて国富に貢献するところがある。

石原:そして国民も利便を享受できるわけです。そういう意味ではたとえば、東京都知事と扇前大臣が首都圏の外環道整備を協力して進めていくと合意したのは、首都としては大きな前進だったと思います。

鈴木:公益のフィルターに照らせば、まだまだ整備すべき道はあると。

石原:なにがなんでも作らないという話じゃあない。とかくそう捉えられがちなんですがね、私の場合。

鈴木:けっこう今でも運転されるんですか?

石原:今はね、さすがに忙しくてなかなか運転はできないですよ。休日があれば家族を乗せてサービスに……という感じですか。

渡辺:そういう時に道路について感じられることってあったりされるのでは?

石原:単純にいちユーザーとしてはね、渋滞なんとかならないかなあとかこの道は不便だなあとか、そういうことはもう。

渡辺:で、実は昔は結構走り回っていたとか。

石原:アウトビアンキのA112に乗ってた頃がありまして、自分でコツコツ整備しながら箱根なんかにドライブに行ってましたよ。ターンパイクの坂道がきつくてね。オーバーヒートとの戦いでしたよあれは。

鈴木:それは共感できるエピソードですねえ。ところで今、欲しいクルマなんてあったりしますか?

石原:個人的には気になってるのはトヨタのタンドラ。

渡辺:うわっ、シブいですねえそこは。

石原:あれに犬とボードを乗せて海に行きたいなあ。あと、キャデラックの新しいSUV、あれはどうなのかなあ。

渡辺:SRXですね。よくご覧になられてる。

鈴木:なかなかいいですよ、日本の道でもギリギリ使えるかなというくらいの大きさで。

渡辺:なんか、結局道の話になっちゃってますが(笑)。

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