マスコミ語録

メディアに掲載された石原伸晃関連記事を以下よりご覧頂けます。

日経トレンド 7月号

特集 規制改革による民間主導の
経済活性化を目指して
規制改革への取り組み

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この二年の取組み

早いもので、小泉内閣の行政改革・規制改革担当大臣を拝命して、2年が過ぎた。この2年間の規制改革は「総合規制改革会議」の積極的な取組みにより、大きな成果をあげている。初年度はこれまで経済規制に比べ取組みの遅れてきた、いわゆる社会的規制に焦点を当て、職業紹介事業の規制緩和などの成果をあげた。2年目の昨年度は、長引く不況の中でメインテーマを経済活性化に設定した。ここで取り上げた事業活動活性化などのテーマは大きな反響を呼び、たとえば燃料電池の分野では、日本が世界のトップランナーとしての地位を着々と固めつつある。また、総合規制改革会議の提言によって始まり、いまや軌道に乗りつつある構造改革特区の取組みは、鴻池大臣のリーダーシップもあって長年懸案とされながら所管省庁の頑強な抵抗により聖域とされてきた分野に、風穴を開けようとしている。

新技術と規制、燃料電池をめぐる実例

10年以上にわたる、政府の規制改革への取組みによって、多くの規制が取り払われた。また、平成6(1994)年の閣議決定により、新たな規制を設ける際には、所管官庁だけの判断によらず、内閣法制局、総務省、財務省の了解を得ることとされており、新たな規制の創設にも、一定の歯止めがかかった。しかし、その一方、新たな規制改革の必要性も高まっている。それは技術の進歩に、旧来の規制が追いついていないことに起因する問題だ。

たとえば、燃料電池。現在、燃料電池車は、高圧ガス保安法、道路法、道路運送車両法、消防法、建築基準法などによる規制を受けている。燃料電池車が公道を走るための許可に始まり、燃料タンクやそのバルブ、駐車場、燃料スタンドのあり方や場所、ガス漏れ、ガス保存容器やその運搬手段にいたるまで規制されている。さらに、家庭用燃料電池は、電気事業法、消防法、市町村の条例などの規制を受ける。経済産業省や消防署長への届出、電気主任技術者の選任が必要で、設置時には住宅から3メートル離せと言う。届出はともかく、一般家庭に電気主任技術者などいるわけもなく、家から3メートル離れて燃料電池を置くには、相当広い庭がいる。これでは、一般家庭に燃料電池が普及するのは、いつになることか。これらの法律における「自家発電施設」は、いわゆる自家発電所を想定しているもので、一般家庭にある燃料電池など想像もしていない。高圧ガス保安法ができたのは昭和26(1951)年、消防法は昭和23(1948)年。これらの法律ができた当時には、燃料電池などこの世に影も形もなかったのだから、むしろ当然ともいえる。日本の技術が、不必要な規制により日本で普及せず、逆輸入される。そんな不合理はもう願い下げにしたい。これらのハイテク技術の進歩に伴う新たな規制改革の必要性は、これからますます増大していく。引き続き、厳しい監視の目を怠らないようにしたい。

競争政策と規制、ニュージーランドを訪ねて

規制改革に取り組むにつれ、痛感するのが、競争政策の充実の必要性だ。わが国では先行する規制緩和への取組みに比べ、車の両輪であるはずの競争政策への取組みが遅れてきた感がある。規制緩和を進めれば進めるだけ、規模の利益を享受できる大企業が有利になることは否めない。規制改革の大きな目的の一つが、新規産業の育成であることを考えれば、競争政策の充実が必要なことは論を待たない。その意味で、今回の公正取引委員会の内閣府移管の持つ意味は大きい。

先日、行革先進国として名高いニュージーランドを訪れた。ニュージーランドではさまざまな国営企業がすでに民営化され、民間企業と競い合っている。そこでのキーワードは 『公平』。国営企業であろうと、『元』国営企業であろうと、税を含め、競争条件は対等だ。ニュージーランド・ポスト社の方ともお会いしたが、極めて意気軒昂。日本では、郵政の民営化事例に必ず挙げられるNZポストだが、実は純粋な民間企業ではなく、一種の国有企業で、株主は財務大臣と国有企業大臣の二人のみ。しかし同時にNZポスト社は、あくまで株式会社であって、業務内容は国と交わされた契約によって規定され、利益を生むこと、効率性を高めることが明確に定められている。税金も株主への配当も支払われ、社員はもちろん公務員ではない。ご多分にもれず、電子メールにおされて衰退ぎみな郵便事業の多角化を目指し、新事業として、キウイ銀行という名前の銀行まで設立した。

実際に業務を始めたばかりの窓口を訪ねてみると、「Cheaper Home Loans(より安い住宅ローンを)」とか、「Swap your Home Loan to KIWIBANK and save $500(住宅ローンをキウイ銀行に借り換えて、年に500ドルを節約しよう)」といった刺激的なパンフレットが日を引く。日本でこんなパンフレットを郵便局が配布したら、民業圧迫だと大問題になるだろう。なぜこれで許されるのかといえば、これも郵便事業と同様、競争条件が民間と対等だから。政府系だからといって、有利な条件はなく、貯金が政府保証を得ているわけではない。あえて、民業圧迫ではないか、と尋ねたが、あくまでも対等の条件で競争しているのだから、そういう批判はない。国内にニュージーランドの銀行がほとんどないので、国民からも必要とされている、とのお答え。

始まったばかりのこの試みが成功するかどうか見極めるには、もう少し時間が必要だろうが、ニュージーランドで見られたように、今後わが国でも多くの国営企業が、民営化され、市場に参入することになるだろう。その時に、『元』国営企業が、他の民間企業より有利な競争をしていたのでは、民営化の意味さえも失われかねない。

今回の移管で、公取の公正中立性は一層明確になったが、それで十分とは言えない。定員削減の嵐の中、公取の定員については増加を図ってきたが、それとともに規制改革会議の答申でも述べられている通り、刑事告発手続きや課徴金制度の見直し、審査機能の迅速化など、公正取引委員会の一層の強化が急務となる。

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