メディアに掲載された石原伸晃関連記事を以下よりご覧頂けます。

お願いだから、
わかって下さい。
国会というところ・・・
史上最強の元・国会議員
浜田幸一
【大臣ってなにをやっているの?】
特別講師 石原伸晃行革大臣
レクチャー 9日目 『大臣ってなにをやっているの?』
だんだん私もずうずうしくなってきた。
「大臣に会いたい」
ハマコー先生にこう申し上げると、
「伸晃に会わせましょう」
即座に返事が返ってきた。うそっ!? と思う間もなく、ハマコー先生はその場で電話をかけ始めた。
「あー、浜田ですけど、石原大臣室」
ここから、ハマコー先生VS石原大臣室秘書の攻防戦が始まった。
● ● ●
昨年の一二月初旬、特殊法人の整理合理化計画が最終局面を迎えていた。
- 『特殊法人改革、金融・空港など難航!』
- 『政府系金融、存続論が大勢!』
- 『首相、石原行革大臣に一層の検討を指示!』
小泉内閣に対する抵抗勢力の声が日増しに強くなり、テレビでは疲れたような怒ったような石原大臣の顔が、連日映し出されていた。特殊法人改革は、小泉改革の柱だと言われている。一六三ある特殊・認可法人の廃止、民営化プランの策定に、石原大臣が自由民主党や省庁から集中攻撃を浴びていた。石原大臣室に電話を入れたのは、ちょうどこの頃だ。
「大臣っていったいなにをやっているのですか?」
真面目な取材の申し込みなのだが、タイミングが悪すぎた。
今それどころじゃないよ! と大臣秘書官、思ったかどうかわからないが、
「取材のご趣旨はよくわかりますが、石原大臣のスケジュールが今、非常にたてこんでいますので調整させて下さい。調整でき次第こちらからご連絡いたします」
電話の向こうで、このような返事があったのだと思う。それまで丁寧な口調で取材の申し入れをしていたハマコー先生の声が、いきなり低くなった。
「調整とはどういう意味だ」
■ 石原大臣に会いに行こう!
【まずはアポ取り。ハマコー先生の電話攻撃】
ハマコー先生はいきなり立ち上がった。
「調整するって一体なにを調整するんだ。一〇分でも二〇分でも時間がとれないわけがないだろう。ダメならダメとはっきり言え! なに? 予算委員会? それだったら、トイレに行くって一〇分ぐらい出てくればいいんだ。時間なんて作る気になればいくらだって作れるだろう。朝、六時に起きるのなら五時半に起きればいいじゃないか。会う気があるのか、ないのか、はっきりしろっ!」
ですから取材をお受けしないと申し上げている訳ではなく、スケジュールの調整をさせてください、こちらの事情もご理解いただけませんか。必ずこちらから連絡しますので……なんて話はハマコー先生には通用しない。ハマコー先生のボルテージはさらに上がった。
「そうか、おまえんとこの大臣は、国民が会いたいと言っても会わないと言うんだな。伸晃は総理には会っても国民には会わないと、おまえそう言うんだな。よーし、国会で会った時覚えとけよ。『テレビタックル』でも、伸晃は総理には会っても国民には会わないと言ってやる! 真面目な国民が聞きに来ているのに、石原大臣はそんな国民には会わないと、あいつは大臣になったとたんにそんなことを言うようになったと言ってやる!!」
この思わぬ展開に私はじっとかたまっていた。ハマコー先生、壁に向かってげんこを振り回している。
「なにをぐちゃぐちゃ言ってるんだ。会うのか、会わないのか! 忙しい忙しいって、君になんか断られたくない! 大臣を出せっ、大臣は今どこにいるんだ、今から行くから、大臣室か、え? なんだと? じゃあ、明日は何時だ、何時に大臣室に入るんだ? 八時か、九時か、はっきり言え!!」
もうむちゃくちゃ。しかしこの大臣秘書官、絶対はかない。ハマコー先生の暴言は機関銃のごとく続いたが、それでもどこまでも丁寧に対応し、しかしいつ取材を受けられるか今すぐにはお答えできないというところで一歩もゆずらなかった。この秘書官もさすがだな、なんて考えていたら、ハマコー先生、いきなりやわらかい口調になった。
「しかし君もしぶといな。君は一体どこの生まれだ? そうか、君が伸晃を総理にしなきゃいけないんだ。子どもたちが大臣の仕事はなんですかと聞きにきた時に、伸晃が説明しなきゃ誰がするんだ? 大臣の取材をしたいと国民が言ってきたから、オレは伸晃がいいと推薦したんだ。伸晃は説明がうまいんだよ。テレビ見ててもあいつの説明がいちばんわかりやすいの。だからオレは推薦したんだよ。それなのに忙しいはないだろう」
これで落ちるか。と思ったが、大臣秘書官、そんな甘い言葉にのってこない。ハマコー先生、泣き落としが通じないとわかると、再びマシンガン攻撃を始めたが、結局、いつ取材を受けるかの答えは引き出せず、じゃあ後で連絡をくれと悔しそうに電話を切った。
結局この後、年内は無理ということで連絡が入ったそうである。
「締め切りもありますし、今回は大臣の取材はなしですね」
と申し上げると、いや、もう一回電話してみようとハマコー先生、またまた電話をかけ始めた。伸晃がいいんだよ、ああいうさわやかなタイプにきちんと説明してもらうのがいちばんいいんだと、ハマコー先生はあくまでも石原大臣にこだわる。取材は年明けでもいいんでしょと問われ大きくうなずいたものの、またあの騒ぎが始まるのかとたじろいだ。
「浜田です。先日のお話、お気持ちは変わりませんか? 私は石原大臣にぜひ国民にわかりやすく説明していただきたいと思っているのですが」
はい、はいとハマコー先生、今回は静かに相手の話を聞いている。こういう時のハマコー先生は本当にわからない。機嫌の悪そうな低い声のまま、それではよろしくと電話を切った。
「来年早々、時間がとれそうだということです」
ワオ! やっぱりハマコー先生はすごいなあ。信念が揺るがないということは、事を成すためのとても重要なファクターだと知った。
【ホームページで下調べ。大臣の仕事は三本立て】
石原大臣との取材が現実のものとなった。しかし本当に「大臣ってなにをやっているんですか?」なんて聞いちゃっていいものだろうか。なにもわからないので聞きに来ましたと今までやってきたが、超メジャー&超忙しい石原大臣に対して、さすがにそれはまずかろうと思った。予習しなきゃ!
ということで、石原大臣の仕事を追ってみた。大臣のホームページを開いて、行政改革推進本部のホームページを開いて、あっちゃ開いてこっちゃ開いていろいろと調べてみました。
●大臣の仕事は3本立て
一.役所でのお仕事(政策を考える)
大臣の仕事は、大きく分けて三つある。まずは役所でのお仕事。
各大臣は野球のポジションのように担当する分野が決まっている。石原大臣の担当は主に特殊法人改革、規制改革、公務員制度改革、公益法人改革の四つ。この改革の中身、つまりどのような改革をするのがよいかを考えるのだ。ここでは事務方から今の制度実態を聞き、それに対してどういう意見があるのかを聞いていく。たとえば特殊法人改革では、民営化するべきという意見とこのまま続けるべきという意見があり、そうしたさまざまな意見を聞いてディスカッションをした上で、大臣はそれではどうするかということを考えるわけである。考えて考えて「よし、これに決めた!」と答えを出す。特殊法人と認可法人で一六三くらいあって、石原大臣はそれを全部考えなければいけないのだ。さらに公務員制度改革、規制改革、公益法人改革……。一体どれだけのレクチャーを受け、どれだけの書類に目を通し、どれだけの決断を迫られることか。いくら時間があっても足りそうにない。
二.政府でのお仕事(政策を決める)
次に政府でのお仕事。メインはニュース番組によく出てくる閣議である。ハマコー先生のお話にも出てきた政府の方針を決定する会議だ。この閣議は毎週火曜日と金曜日に開かれ、国会開会中は午前九時から国会議事堂の閣議室で、閉会中は午前十時から首相官邸の閣議室で開かれる。所要時間は十分で終わることもあれば一時間かかることもある。閣議後には記者会見を行い、閣議で話し合った内容や決定事項、また大臣の考え方などを報告する。また緊急時に開かれる臨時閣議というものもあり、アメリカの同時多発テロのときには、石原大臣は朝の三時に官邸にかけつけた。
それから閣議とは別に閣僚会議や各種の本部連絡会というものもある。これはテーマごとに関係する大臣によって開かれるもので、経済対策閣僚会議とか安全保障会議とか全部で三十以上もある。石原大臣は行革推進本部やIT戦略本部など、多い日には一日に二つも三つもの閣僚会議に出席する。
三.国会でのお仕事(政策を提案する)
そして国会での仕事。国会には、衆参両議院にそれぞれ十七ほどの常任委員会とテーマごとに別れた特別委員会があるが、各大臣によって担当する委員会が決まっている。
担当するというのは、その委員会に呼ばれて答弁(説明)をするということだ。石原大臣の場合は、まず内閣委員会。
内閣委員会とは、内閣官房や内閣府、宮内庁、警察庁の政策をチェックしたり、これらの役所が提出する法案を審査する委員会。この委員会のメンバーは、衆議院では国会議員三十名からなり、これに対する担当大臣は福田官房長官のほか内閣府の大臣四名。すなわち今だと石原大臣、竹中大臣、尾身大臣、村井大臣である。
委員会のメンバーは、この五人の大臣に対して説明を求め、審議を行う。テーマごとに今日は官房長官だけでいいですよとか、石原大臣と竹中大臣だけ来て下さいと、関係する大臣を呼んで説明を求めるわけだ。
たとえば石原大臣が担当する特殊法人改革の基本を定めた「特殊法人等改革基本法」や国民の休日を決める「国民の祝日に関する法律」などもここで審議された。この内閣委員会の定例日は衆議院は水曜日と金曜日、参議院は火曜日と木曜日にあり、つまり石原大臣は、火水木金といつも内閣委員会に呼ばれる可能性がある。
それから石原大臣が関係する委員会では予算委員会。予算委員会は基本的に全大臣を呼ぶことができる。一月下旬、予算の審議が始まると、ほとんどの大臣は朝の九時から夕方の五時まで、その間は昼休みが一時間あるだけで約七時間ずっと予算委員会の椅子に座っていなければならない。これが予算が成立する三月まで約二カ月月間続くので、その拘束時間はものすごく長い。
それから決算委員会。衆議院では「決算行政監視委員会」、参議院では「決算委員会」と「行政監視委員会」と呼ばれ、ここでは予算が正しく使われたか、行政のやり方が適切だったかということを審議する。これもテーマに関係する大臣が呼ばれ、石原大臣も答弁台に立つ。
この三つが主に石原大臣が関係する委員会だ。とにかく大臣は、国会に何時から何時まで審議するから来て下さいと言われたら、余程のことがないかぎり必ず出席しなければならない。政府の一員として出席して、政府が考えた政策を国民の代表である国会議員に説明しなくてはいけないのだ。国会は国権の最高機関だから、必要に応じて大臣を呼び説明を求めることができるのである。
さて、大臣の仕事がだいぶ見えてきた。政策の案を練り、石原大臣で言うと改革のプランを考え、これでどうだと何度も他大臣と話し合い、閣議決定し、今度は国会で承認してもらうために説明におもむく。衆参両議院の委員会でみっちり審議され、これに的確に答弁ができなくてはいけない。そして法律が決まれば、それに基づき政策を一つずつ実行していく。
大臣ってもっとお飾り的なものかと思っていたが、ずいぶんと実質的な仕事をしているようだ。しかも国会議員とは立場がまったく異なっている。国会議員と大臣と、意識面ではどうちがうのだろう? どちらがおもしろいのかな? 大臣という仕事の魅力ってなんだろう? いろいろあらたな疑問が湧き起こってきた。
■ 石原大臣登場! 現役大臣特別レクチャー
【潜入成功! エレガントな大臣室】
省庁再編で新設された内閣府。首相の権限を強めるために設けられ、位置的にも首相官邸の向かいにある。まさしく側近というイメージだ。ここに石原大臣の大臣室がある。

二〇〇二年一月八日。この日、取材は二〇分でお願いしますと念を押された。分刻みのスケジュールの中、むりやり時間をさいていただいたので当然だ。とにかく一分も無駄にできないといつになく緊張。いやいやなんといっても時の人、石原伸晃大臣にお会いできるのだ。平常心を装ってはいても、今朝は一時間も早く目が覚めたし、筆記用具も忘れてしまった。カメラマンにボールペンを借り、いざ大臣室へ。
大臣秘書官室は意外にせまかった。四〜五人の方がいらっしゃって、皆さん感じのいい笑顔を向けて下さった。ばりばりに緊張している身には、この笑顔はありがたい。
秘書官の方と取材の段取りなどを話していると、なんと石原大臣がぶらりと秘書官室に現れた。
おおっ、テレビとおんなじ!
しかしそこにいらっしゃる大臣は、スーツの上着を脱ぎ、いかにもリラックスしたご様子。他の秘書官の方々と談笑しながら伸びなどされている。うーん、さすがベストドレッサー賞受賞者。スラリとした体型に細身のスラックスがよく似合い、大臣をつかまえて失礼かと思うが、まるで少年のようだ。かっちょいい。
……などとうつつをぬかしていると、インタビューは突然始まった。
「では、大臣室にどうぞ」
淡いピンク色のカーペット、木目調の壁、レースのカーテン。応接セットと会議机がゆったりと置かれ、大臣室は今まで見てきたどの部屋よりもエレガントだ。石原大臣はスーツの上着をきちんと着て、丁寧にご挨拶をして下さった。カメラマンが名刺を渡すと、
「あれ、うちの近所じゃない。うち、あのサミットのすぐそばなんですよ」
まるで隣のおにいちゃんのような親しみやすさで、カメラマンとしばし盛り上がる。
私も雑談に加わりたかったが、なにせ取材は二十分一本勝負。早速、質問を開始する。
質問:大臣になられて、いちばん驚いたことはなんですか?
こんなにも束縛されるのか、ということですね。予定表を見ていただければわかりますが、もうびっしりなんですよ。それで、これが十八時に終わるわけではなくて、この後、政務っていうのがあるんです。
質問:政務ってなんですか?
政治家としての、つまり国会議員としての仕事ですよ。デイタイムは大臣としての公務がありますから、夜や週末に政治家としての仕事をするわけです。選挙区の仕事がありますからね。だから拘束時間が非常に長い。それに家に帰ると、もう家から出られないんですよ。
質問:え? 出ちゃいけないんですか?
いけないというわけではないんですが、いったん家に帰ると、もう外出されませんよねっておまわりさんに確認されるんです。やっぱり外出するとなると、また警護のSPの方にも来てもらうわけで、申し訳ないし、なかなか言えませんよね。大臣になると家の敷地内にポリスボックスが立つんですよ。父親が大臣をやったり知事をやっているのを見てて知ってはいたんですけど、でも父親がやっていた頃よりも厳しくなっていますね。やはり世の中が荒れてきていますから、セキュリティに対してうるさくなっている、うるさいなんて言っちゃいけないね、それだけ心配して下さっているわけです。一昨日も家で寒かったから、みんなが暖房をつけたらブレーカーがとんじゃったんですよ。そしたら外からおまわりさんが「大丈夫ですか! 大丈夫ですか!」って、こっちはもう真っ暗だから、ちょっと待って、懐中電灯どこ? みたいなね、大丈夫かどうか今やってるんだって、余計、大騒ぎになっちゃいましたけど。
質問:二十四時間体制で警備がついているんですね?
そうなんです。正月も僕の生家、逗子なんですけど、行ったんですよ。その時はSPの方にも休んでもらったほうがいいなと思って、大丈夫ですよって言ったんですけど、不審船のニュースがあったでしょ。だから官邸に呼ばれるかもしれないからとSPがついて、SPの方も近くの旅館に泊まってもらうというような、そんな感じでした。やはり始終誰かに監視されているようなものですから、束縛されている感じがすごく強いんですよ。
質問:それは国会議員の時とは大きなちがいですか?
国会議員はこれに比べると自由ですからね、昼間いろいろできますから。やはり内閣を構成している大臣なんだなあと、こういうことでも実感しました。
【大臣のここがツライ】

質問:お仕事をされていて大変だなと感じられるのはどういうところですか?
今日、実は熊代さんという副大臣が来てくださったんですけど、今までは私を助けてくれる行革担当の副大臣がいなかったんです。私一人だったんですよ。それで国会のいろいろな委員会に呼ばれるんですね。メインは私が所管する内閣委員会なんですけど、他にも決算委員会のような大きな委員会に呼ばれると行かなくちゃいけないし、予算委員会も総理が出られる総括審議にはずっといなくちゃいけない。そうするとデイタイムはほとんど委員会に取られちゃって、取られちゃうと言ってもそれが大臣の仕事なんですけど、朝の九時から夕方の五時までずっと委員会の椅子に座りっぱなしということになるんですよ。
質問:ずっと会議で座ってなきゃいけないのは大変ですね。
だからこれで腰が悪くなりましたね。椅子がね、昔の規格なんですよ。真ん中がとんがっている椅子ってわかります? 特に衆議院の予算委員会の椅子がよくなくて、全部手作りらしいんですが、ほんとに座り心地が悪いんです。手作りだから座りやすい椅子もあるんですけど、僕のはダメ。だからこれ、秘密兵器を持って行くんです。
質問:マイ座布団ですか?

そうそう。これ、固いんです。これで出っ張っているのを減らして、少しでも楽に座れるようにと思ってね。苦労してるんです。だって、九時から五時で一時間休憩が入るだけで七時間、座りっぱなしなんだから。トイレに行く時だけしか立てないんですよ。 これはほんとに苦痛。
質問:大変なんですね。国会でそんなに拘束されていると、行政の仕事があまりできなくなるということはないのですか?
そう、なかなか時間がとれない。行政の仕事というのは、どこをどう変えていかなければならないと案を練ることから始まるんですね。僕の場合だと、行革のスキームを作ったりドラフトを作ったり。今度は四つの道路公団を民営化するための第三者機関を作る法律案を出さなきゃいけない。これにはやはり相当な時間がかかるんです。ディスカッションの時間は一時間、二時間かかりますし、最終段階では一人でじっくり考える時間も必要ですから。
質問:大臣の仕事は、国会で答弁するより案を練るほうがメインなんですか?
どちらがメインということはないんですよ。どんなにいい案を作っても、国会がそれを認めて法律として成立しないとなんにもならないですから。だから国会で答弁することは非常に重要なんですね。ただ重要度から言うと、案を練ることも同じぐらい重要です。そこでいつ案を練るかと言うと、デイタイムは国会ですから、朝ですね、七時とかそういう時間から検討会議を始めるんです。前の森総理は六時くらいからやっていたそうですよ。それに比べれば僕なんかは遅いほうで、短い時間でばっとやっちゃいますけど、だんだん消化できなくなってくると時間がかかるようになってきますね。
質問:特殊法人改革のプランなどはそうして作っていったんですね。
そうです。あとなんと言っても行政改革で不思議なのは、自民党に反対が多いですから(笑)、普通は野党の反対が国会に出てくるんですけど。
【大臣は「小泉丸」の船員だ】
質問:石原大臣は自民党ですが、自民党の議員の立場と大臣の立場と、どちらに意識が強いのですか?
これはもう、僕は小泉丸の船員ですから。自民党っていう国の人間かもしれないですけど、小泉丸という船にもう乗っちゃいましたから、誰がなにを言おうと、船長がこっちに進むゾって言ったら「アイアイサーッ」てそちらに舵を切るんです。内閣って非常に一体感が強いんですよ。
質問:そうなんですか? 今までそういうふうに感じたことはなかったですけど。
いや、僕も初めてそういうふうに感じました。
質問:やはり小泉総理になられてから、内閣の存在が大きくなったということですか?
大きくなりましたね。今までと全然ちがう。それは橋本元総理が内閣を強く、総理の権限を強くっていう改革をやったからということもあって、小泉内閣はそれの第一号なんですよ。間に森内閣がありますけれど、森総理は本国の自民党と仲良くやっていくという方法をとりましたから。でも本来、今回の中央省庁の再編っていうのは、首相官邸がいろいろなことをリードしていくことができるシステムなんです。それで、この内閣府という役所もできたわけですから。
質問:小泉総理のリーダーシップはやはり強いですか?
ええ、今度の政治手法はすごいですよね。やっぱり天才だよ。抵抗勢力っていうのはうまいこと考えたよね。僕もだいぶ痛い目にあいましたけど。
質問:サンドバッグですか?

ええ、もうボコボコ(笑)。でも僕は金融国会のあと三年間、反主流でいましたから、それが今は自分がこうだと思うことが具体化していきますからね、やっぱり本流はいいなあと思います。特にこの一年間、加藤先生の乱に出陣したあと、閉門蟄居でしたから。それで「日本の明日を創る会」を結成して活動していたんです。僕はまるっきり批判勢力だったんですよ。このままの自民党じゃだめだー! ってやってたんですから。それが小泉さんが総理になって、それはもう晴天の霹靂でした。
質問:大逆転って感じですか?
うん、もう小泉総理は総裁選に出るのは三度目でしたからね。僕は最初から小泉さんをかついでいたんです。おもしろい人なんですよ。昔っから全然変わらない。だからわかりやすいんです。
(そろそろお時間ですの声)
質問:あ、もうですか。では最後に、大臣という仕事の魅力をお話いただけますか?

私のいる内閣府の大臣はちょっとちがいますけど、一般的に大臣というのは役所の長なんです。役所を会社にたとえたら、社長なんですよ。民間企業の社長といったら、その権限は絶対でしょ。それだけ責任もあるしやりがいもある。大臣も正しく同じです。私のように内閣府というところにいる一人の大臣であっても、そういうことをすごく感じます。自分がこうしようと思うことが実現できて、それが社会に影響を及ぼしていく。この喜びは大きいですね。私にとって行政改革は正しくそうです。
道路公団、これから民営化しますが、一年前には誰も道路公団が民営化されるなんて思っていなかった。国鉄がJRになった時よりも、もっとびっくりですよ。道路公団が民営化されれば、これからサービスはよくなるし、高速道路の料金も下がるでしょう。そうしたらみんなハッピーですよね。特に東京は、首都高と道路公団がつながっているところは、二百メートル走っただけで七百円とられる。道路はつながっているのに、会社が変わるからってお金をとられるなんておかしいですよ。みんな今まで国がやることだからと怒らなかったけど、そういうことをどんどんなくしていこうと思っています。
首都高だって混んでてすぐに降りることありますよね。あれも前払いだから、「くそー、一区間で七百円か」って思うじゃないですか。これも変えられるはずです。ETCを完備して、短い区間の利用なら百円とか工夫の余地はあるんです。民間になったらやりますよ。
質問:今年はどんどん石原大臣のお考えが実現されていくんですね。

去年はこういうふうに変えようってプランを決めたんです。今年は、その実現のために必要な法律を通して、本当に変わる年。小泉内閣は口先ばかりでなにもやっていないと言う人がいますが、たったの八カ月でプランを決めたんです。イギリスのサッチャー政権は、こういうふうに変えようって決めるのに五年かかりました。それを小泉内閣は八カ月でエイヤッとやった。たとえば、特殊法人に流れているお金を一兆円削減しろと言って、一年では無理だろうと言う人もいたけど、叩いて叩いてバシバシ叩き続けて、一兆円を越えて一兆一〇〇〇億円も贅肉をそぎ落とした。そこで浮いたお金は、総理がやっている待機児童ゼロ作戦に回したり、介護や医療や教育に回したりしたんですから。
質問:これからいろんなことがよくなってきますね。
今年が勝負の年だと思っています。法案化において、内閣が決めた方向性をなんとしてでも堅持しなくてはなりません。既得権益を守ろうとする各府省や関係者たちの抵抗が必ずありますから、新たな闘いが始まるという気がします。総理からも、改革を完成させるために奮闘せよと、いよいよこれからだと言われています。
まあ、見ていてください。小泉丸の乗組員として大きく船をこぎ出しますよ。

石原大臣は、その華奢なお姿、軽妙な語り口とはうらはらに、実はとても強靱な精神の持ち主なのではないかと思う。サンドバッグになれと言った首相も首相だが、ボコボコにされながら愚痴一つ言わず、まともにパンチをあびつづけ、どうなることかと思っていたら、昨年末、見事に改革プランをまとめあげた。たった一人で、一六三もの特殊法人を担当して、国会では腰が悪くなるぐらい座り続けてである。
年明け一月から始まる通常国会は六月まで続く。初めてのロングランでちょっと不安なんだと石原大臣はおっしゃっていた。予算委員会はテレビで中継されるが、もし石原大臣が顔をしかめていたら、腰が痛いんじゃないかと心配になりそうだ。今年はぜひ、国会の予算委員会の石原大臣の椅子を作り直してあげていただきたい。私たちのために懸命にがんばって下さっている大臣のために、そのぐらいの税金をかけてもいいと思う。石原大臣、ガンバレー!
