マスコミ語録

メディアに掲載された石原伸晃関連記事を以下よりご覧頂けます。

石原伸晃+根本匠

週刊文春 2001年4月12日号

石原伸晃+根本匠
まだ見ぬ新総理へ贈る
「日本経済サバイバルプラン」

根本 匠(ねもとたくみ)

1951年郡山市生まれ。74年東大経済学部卒。同年建設省入省。93年衆院議院に初当選。98年小淵内閣の厚生大政務次官。党国会対策副委員長大蔵委理事。「日本の明日を創る会」世話人。当選3回。無派閥。

石原伸晃(いしはらのぶてる)

1957年東京生まれ。慶応大文学部卒。81年日本テレビ入社。政治部記者を経て、90年衆院議員に初当選。第二次橋本内閣の通産政務次官。自民党若手グループ「日本の明日を創る会」代表世話人。当選4回。無派閥。

3月末日の日経平均も1万3千円を割り、一向に出口の見えない日本経済、緊急経済対策は果たして効果があるのか。そんな中、自民党「政策新人類」2人が経済再生のための画期的プランを提言する。担保不動産の証券化を核とした経済政策の実行で日本は必ず蘇る!

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I・われわれはなぜいま声を上げるのか?

4月6日に正式発表されますが、政府の緊急経済対策の全容が明らかになりました。
主な柱は、

  1. 1) 不良債権の抜本的処理
  2. 2) 銀行保有株式取得機構の創設
  3. 3) 企業再建の円滑化
  4. 4) 債権放棄等の円滑化
  5. 5) 都市の再生・不動産流動化
  6. 6) 雇用等へのセーフティネット

さて、政府緊急経済対策の出発点は、3月9日に出された与党3党による緊急経済対策でした(以下3党原案と略)。中心となった亀井静香政調会長は、各省庁の次官クラスを呼びつけ、「これに肉付けする具体策をどんどん持ってこい! できなきゃ、クビだぞ」と恫喝したと聞きます。
それから、一カ月あまり。突貫工事で作られた、今回の政府の緊急経済対策は、それなりの出来ばえに見える。さすが日本の官僚は優秀です。しかし、われわれには、どうも「仏作って魂入れず」に思えて仕方がないのです。
その理由は、おおもとになった3月9日の3党原案を振り返ってみれば分かります。
その時点の目玉は、株式買い上げ機構を設立し、株価を持ち上げることだった。期末決算のたびに下がる株価を、政府が人為的にカバーしようとした。はっきり言って、これはきわめつけの愚策です。
株式買い上げ機構は、それ単体ではまったく意味をなしません。金融証券のプロたちは、買った株や債券をそのまま塩漬けにしておくことを、「ブタ積み」と言って馬鹿にします。
株を市中から買ってきて、「5年たったらきっと値が上がっているでしょう」と、あてのない望みをかけるのは、ただの神頼みです。森総理就任後の一年間だけでも、時価総額にして百兆円分も株価は下がっているのです。10兆や20兆買い上げたところで、株価が戻るわけがない。
株価とは、企業の魅力につけられた値段に他なりません。個々の企業が魅力を取り戻すための抜本的後押しを講じないまま、ただ株を買い上げるのは、「ブタ積み」と同じです。さいわい今回の政府緊急経済対策では、買い上げ機構は、銀行の保有する株式の取得に目的が限定されました。
3党原案の最大の欠陥は、不良債権処理の進め方がきわめて曖昧な点です。
なにしろ、いまだにマーケットは、柳沢伯夫金融担当大臣の言う「リスク管理レベルの不良債権はおよそ32兆円」という数字を疑っているありさまです。しかし、銀行の自己査定でしか分からない灰色債権まで含めれば、64兆円になるという見方もある。
先日、UFJグループ(三和・東海・東洋信託)が、不良債権の処理額を増やすため、赤字決算になると発表しました。当初5千8百億円償却する予定を、1兆1千億円まで上積みした(間接償却6割、直接償却4割)のです。自己査定を厳密にやり直したところ、これまで灰色と見ていた債権が、実際は償却が必要なまでに劣化していることが分かったためです。その大部分は、ゼネコン向け貸し出しだったといいます。
メインバンクは、貸し出し先の財務内容を明確に把握していますが、それ以外の銀行は必ずしも情報が十分ではない。サブの銀行は、メインにくらべ債権査定が甘くなりがちです。それがUFJに統合されたおかげで情報交換が密になり、償却を厳しくしたのです。
裏を返せばそれだけ、不良債権の正確な把握は難しいということです。そこへ先送りが輪をかけ、袋小路に入り込んだ不良債権問題を解決するには、よほど大胆な作戦を取らなければならないのに、3党原案からはその危機意識が読み取れない。われわれの現時点のアイデアは、後でまとめて紹介します。
結局、政府の緊急経済対策は、与党3党があわてて出した原案を、官僚たちが肉付けして見映えをよくしたに過ぎないのです。まさに「木を見て、森を見ず」です。確かに、一部分を取れば、可能性を秘めた施策も含まれています。しかも、肝心の将来ビジョン、芯をつらぬくトータルな思想が完全に欠落しているため、市場はまるで相手にしない。この政治的リーダーシップの不在こそが、経済低迷の最大の要因なのです。
いくらいい材料と道具を集めても、きちんとした設計図と職人の技術がなければ、家は建てられません。まして棟梁が指図もせずにサボッてばかりいたら、そのうち家の土台まで腐ってしまう。
そもそも、なぜわざわざ総裁選直前に発表するのか? 経済対策を口実に、亀井政調会長はじめ現自民党執行部の延命を図るのが真の目的ではないか、と世間から勘繰られても仕方ないと思います。
だいたい、何年で経済を回復させるつもりなのか、まったく不明です。政策の全体像を示し、国民に理解と責任分担を求めるのが、政治家の責任のはずです。
日本経済停滞の根本原因は、不良債権問題にある。われわれは、一貫してそう主張してきました。
付け焼き刃の経済政策に終始してきたのは、与党内にこの問題像を把握している人間が、あまりに少ないからだと思います。
かたや行政サイドの金融庁も、トップが代わるたび方針は180度変わってしまう。担当者がことなかれ主義に陥らないはずがない。
われわれは3年前の秋、いわゆる「金融国会」の時に、政策新人類と呼ばれました。あの時、目指したことはいったい何だったのか。改めて振り返ることを、お許し頂きたいと思います。

II・問題の本質はなぜ「先送り」にされたのか

97年11月。拓銀、山一證券がたてつづけに破綻します。年が明けてすぐ、われわれは塩崎恭久大蔵政務次官(当時)の知恵も借りながら、自発的に金融の勉強会を始めました。やがて、日本の金融システムの抱える病根のあまりの深さに、背筋の凍る思いを共有するようになったのです。
2月からは、保岡興治(やすおか おきはる)衆院議員のサジェスチョンで、自民党内のワーキング・チームに発展しました(同年3月には「自民党土地債権流動化推進特別調査会」として正式発足)。まずまっさきに手をつけなければいけないと痛感したのは、不良債権のオフバランス化と土地の流動化でした。
オフバランス化とは簡単に言えば、銀行と借り手の間の債権債務関係を清算し、不良債権を銀行のバランスシートから実質的に外してしまうことです。
日本の場合、融資担保は大抵不動産ですから、不良債権をオフバランス化しようとすれば、担保不動産処理の問題も浮上する。
ところがそれらの土地は、バブル崩壊後の地価下落で大幅に担保割れしてしまっている上、権利関係が二重、三重に入りくんでおり、事実上塩漬けになっていることが多いのです。
銀行は、担保不動産の価値が下落すれば、貸し倒れに備えた引当金を積み増さなければならないことになっています。
たとえば銀行がA社に、時価1億円だった土地を担保に、1億1千万円融資していたとしましょう。A社の経営が悪化し、その土地の値段も2千万円まで下落すると、A社に土地を売らせても2千万円しか融資を回収することができません。この場合、銀行は貸出額との差9千万円を万一に備え引き当てる必要がある。
延滞債権と引当金あわせ、都合2億円。これを整理すれば債権部分は相当目減りするにせよ、少なくとも銀行は引き当てていたお金を自由にでき、その分新規融資にまわせるわけです。
ちなみに、かろうじて金利は支払っているものの、担保土地の価格が大幅に下落している灰色債権は、はっきり不良債権と認めるべきだと、われわれは考えています。
不良債権は、経済の血管である金融システムを目詰まりさせてしまう。一時的に、出血するかも知れないが、担保土地を一刻も早く処分し負債を清算する緊急外科手術こそが急務です。
もちろん、ある程度の輸血は要るでしょうが、この試練を乗り越えない限り、日本経済再生はありえない。
そこが、われわれの発想の原点でした。
98年4月24日に決定された政府の総合経済対策の中に、「土地債権流動化トータルプラン」が盛り込まれました。債権債務関係の円滑な処理を目的とし、以下の手段を掲げたのです。

(1)不良債権の適正評価

前述したように、日本の不良債権の査定はきわめて曖昧でした。債権の現在価値を計り、焦げつき額を確定させることが、不良債権処理の第一歩です。そのために欧米では当たり前の、デューデリジェンス(適正評価)という概念をはじめて導入しました。

(2)サービサー法の制定

貸倒れ額がはっきりしたら、次はどうするか。債務者の財産を整理し、取れるものは取り戻すのが、債権者の常識でしょう。
アメリカでは、「サービサー」と呼ばれる借金回収の専門家が、かなり以前から資格化されています。マンガに出てくるような「取り立て屋」をイメージして貰っては困ります。
債務者と話し合いの上、再建計画を立て、少しずつでも借金を返してもらうのが仕事です。威圧ではなく説得で、債権回収を進めるのです。
日本では弁護士にしか認められていなかったサービサーの業務資格を広く開放し、積極的な育成を促しました。

(3)SPC(特定目的会社)法の制定

不良債権といっても、担保価値がゼロになっているわけではありません。外資系金融機関がおもに手がけている、銀行から不良債権を安く買い上げ、回収・転売するバルクセールビジネスは、驚異的な利益をあげています。
また、不良債権を小口の証券に分け、売り出すやり方もあります。証券の発行・管理を行うSPC(特定目的会社)を作れば、手続きはよりスムーズになる。SPC法は98年9月1日に施行され、すでに豊富な実績をあげています。
なお、(1)の適正評価が、この手法が成功する鍵を握る。適正価格がつかなければ、買う人も出てきません。

(4)土地の流動化推進

不良債権処理に伴って売却した土地がだぶついては困ります。利用価値を高めるために、都市基盤整備公団を活用し、都市開発をスピーディーに進めたり、公的土地需要を創出するなど、土地流動化の手だてを講じました。

(5)再建型倒産法制の整備

借金を返すには、ただ会社を潰して財産を処分すればいいというものではありません。借金を整理した上で、再び事業を立て直せば、借金を少しずつ返すことだってできるのだから、債権者にとってもメリットがあるのです。
これまでの日本の倒産法制にも会社更生法や和議法といった「再建型手続き」はありましたが、実情は「会社を潰したのだから、身ぐるみ脱いで首を吊れ」といったレベルでした。つまり会社が破産しないと手続きをはじめられない。手続き事項もこみいっていて使い勝手が悪く、本当の意味の再建型法制とは程遠かったのです。
アメリカには、「チャプター・イレブン」といって、会社の資産は整理するが、事業そのものは生かして、みんながトクをすることを目的とした法律があります。これをお手本にしたのが、99年12月に成立した、「民事再生法」です。
われわれは、ここまで下準備をしてはじめて、不良債権を抱える銀行に手をつけられると考えていました。

「土地債権流動化トータルプラン」と同時に作った、「金融再生トータルプラン」は、不良債権の公表/適正な償却・引当/金融庁を設置し、公正で透明な行政を実現、かつ金融監督を強化する/金融機関のリストラ、経営健全化/金融機関の破綻処理スキームを確立/ブリッジバンクの創設という金融構造改革へ向けた処方箋を示しました。
このあたりの話は、今日お馴染みになった観があるので、いまさら立ち入って説明しません。ただここで強調しておきたいのは、金融機関の破綻処理は、当初のわれわれのトータルプランの中で、あくまで不測の事態に備えた枝葉に過ぎなかったことです。
われわれのビジョンは当初、自民党内はおろか、日本のマスコミにさえ、ほとんど無視されました。政治家を取材するのは政治部記者と決まっていますから、政局と関係ない金融政策の話をしても、怪訝(けげん)な顔をされるだけでした。
そんな中、英経済紙「フィナンシャルタイムズ」だけは、一面トップで「トータルプラン」を取り上げました(98年6月24日付)。
また同年5月6日、訪米中の加藤紘一自民党幹事長に、サマーズ米財務副長官(いずれも当時)は、「トータルプランに示された、日本政府の不良債権処理への決意を高く評価する」と語りました。
5月15日、橋本総理はバーミンガムサミット前のクリントン米大統領との会談において「オフバランス化」、つまり不良債権処理に取り組むと、はじめて表明したのです。
だが現実の流れは、予想よりはるかに速かった。
6月下旬から、マスコミは「長銀自主再建困難」と一斉に報じ始めた。みるみるうちに長銀の株価は額面割れまで追い込まれます。やがて日債銀の経営危機も表面化する。

債権放棄で事態をこじらせた銀行

相前後して、7月12日の参院選で自民党は大敗、橋本首相は退陣します。7月30日に小渕内閣が成立、続けて「金融国会」が始まった。
事ここに至っては、銀行の破綻処理という「応急手当て」を講じるしかありません。国難を前に与党も野党もあるか! と思ったわれわれは、民主党の若手ともタッグを組み、金融再生関連法案に必死で取り組みました。ところが、自民党内の一部からは、その行動が、「敵に塩を送るようなもの」とあらぬ誤解を受けたようです。
10月に入り、公的資金枠60兆円を使った銀行への公的資金注入を認めた「金融機能早期健全化緊急措置法」と、破綻処理の手続きを定めた「金融機能再生緊急措置法」が成立しました。
金融システムの全焼をぎりぎりで食い止めるのに、一定の効果があったのは事実。ただ反面、大きな悔いも残ります。
一つは、事態の深刻さへの認識が、まだ不十分だったという反省。もう一つは、世間の注目が銀行の破綻処理と公的資金注入にばかり集まってしまったことで、不良債権処理という本質が見失われ、金融再編に矮小化されてしまったという痛恨の思いです。
せっかくこれまで述べてきたような不良債権処理の仕組みを作ったにもかかわらず、その思想が生かされたとは、到底言えません。
確かに大手銀行への公的資金注入はやむをえなかった。しかし、税金で面倒を見てもらった以上、銀行はその猶予期間に不良債権の始末をどんどんつけ、なおかつ経営責任の明確化やリストラで、ツケを払わなければならない。
自主再建が難しい企業には早めに民事再生法を適用した方が、借り手・貸し手双方にとって被害が少なくて済むのです。にもかかわらず銀行は、腰のひけた債権放棄を繰り返し、かえって事態をこじらせた。
さらに金融再編が一気に加速したことで、多くの国民(もしかすると銀行自身も)は、不良債権問題にメドがついたように錯覚してしまった。いくら銀行の規模が大きくなろうと、不良債権問題が抜本的に解決されない限り、金融システムは再生しないのに。
こうしてなし崩し的な先送りが生じたことが、日本経済の混迷に拍車をかけた。3年前に、不良債権を手術台に乗せる一歩手前まで行ったのに……。あの時メスを入れておけば、ここまでひどくなることはなかったはずです。
好意的に解釈すれば、小渕前首相は、財政出動で景気を持ち上げた後、構造改革に踏み込もうという危機意識を持たれていたかもしれません。ところが突然の死で、ボタンのかけ違いが生じた。
本当は手術が必要な人間に、輸血をしたり、カンフル剤を打ったり、おいしいものを食べさせたりして体力を回復させ、さあ手術だ、と思ったところで、主治医が交代。いや、もう元気になったから手術は必要ないと退院させてしまった。
患者はウキウキと動きはじめた途端、すぐに激痛でうずくまってしまった。当たり前です。必要な手術をしていないのですから。なおかつ、うっかり元の体に戻ったつもりで動いてしまったから、前よりもっと体力が落ち、死の状態になってしまった。
この経済状況を前にして、もはや黙ってはいられません。われわれが起死回生の、「日本経済サバイバルプラン」を、世に問うゆえんです。

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III・究極の一手「サバイバルファンド」

巨大なモンスターと化した不良債権問題にどこから切り込んだらいいのか?
もっとも効果的なのは、敵の足元を狙うことです。
不良債権が根を下ろしている土地をグラグラと揺すぶり、貧乏神を追い出してしまう。不良債権処理の突破口は土地流動化に在り。われわれの発想の原点は、3年前から変わっていません。
銀行が、「いま土地を大量に処分すれば、どこまでも地価が下落する」と臆病風に吹かれっぱなしなのは、取り越し苦労に思えます。地価が下げ止まらないのは、端的に言って、「底値感」が出ていないからです。
銀行が後生大事に不良債権を抱え込んでいるから、かえって地価が下がり続けるのではないでしょうか。不良債権の全貌が隠されているので、まだまだ土地は放出される、という不安感が消えない。その不安はおのずと買い控えにつながります。不良債権をすべて明らかにし、土地を売りに出せば、むしろ「底値感」が需要を喚起するはずです。
仮に一時的に地価が下がっても、買う人さえいれば、かならずその土地の利用価値に見合った値段がつきます。底値の先には、値上がりしかありません。
いたずらに虚像に怯えることなく、正面から敵(不良債権)に立ち向かえば、おのずと「資産デフレ」脱出の活路は開けます。そのための武器を、すでに「土地債権流動化トータルプラン」が用意しました。
足りないのは、最初の一歩を踏み出すきっかけだけ。日本経済が21世紀に生き残るための最後の戦いです。
まだ見ぬ新総理へ、そしてすべての勇気ある日本人に向け、われわれは究極の一手、「日本経済サバイバルファンド」を提唱します。
一括ではさばきにくい土地を動かす妙手がある。不動産を小口の証券に分けバラ売りする、ABS(資産担保証券)と呼ばれる金融商品で、そのための法制はすでに前述の「トータルプラン」で実現されています。
たとえば丸の内の一等地に立つビル数棟の土地建物の権利を、1万口の証券に分け、1口50万円で売り出したとしましょう。もし、年間55億円の賃貸収入があり、経費を差し引いても2億5千万円の利益が生じたら、1口あたり2万5千円の配当ができる。年5パーセントの利回りとなり、ほぼゼロ金利の銀行に預けているよりよっぽどいい。
アメリカには実際、不動産担保投信を売買する1400億ドル(15兆円)規模の「リート市場」があります。日本でも、すでに三菱地所や三井不動産が商品化に取り組み、全体で1兆円規模の市場が誕生した。
われわれの「サバイバルファンド」は、この不動産の証券化を国が全面的に後押しする仕組みです。
まず新設の「サバイバルファンド機構」が、国から10兆円程度の出資または融資を受け、銀行から不動産担保付債権をどんどん買い上げる。既存の整理回収機構(RCC)を活用してもいいかも知れません。
バルクセールでは、債権の買取価格は平均で額面の8パーセントとされます。このデンで行けば額面の1割で買い上げたとしても、仮に10兆円使えば、100兆円分の債権が買える。
するとあら不思議、灰色部分も含め銀行のバランスシートから不良債権がすっかり消えてしまう。
証券化を早めるため、「サービサー」も活用し、錯綜した権利関係を解きほぐす。占有屋は機動隊を導入するぐらいの覚悟で追っ払い、不法な勢力を断固として排除する、といった必要があります。値段も適正評価する基準(デューデリジェンス)を設けます。
たとえば買い上げた不良債権から土地を売った後、ローンが残った場合はどうするか。サービサーに頼んで、債務者から少しずつでも担保割れ部分を返して貰います。中にはもう鼻血も出ない、という債務者もいるかも知れません。その場合は、どうか怖がらずに、「民事再生法」による事業整理を選択して下さい。
民事再生法は、借金という荷を軽くして、事業家が蘇るための前向きなシステムです。むろん債務棒引きといった「徳政令」ではありません。それなりのペナルティーは払ってもらいますが、払える限度にとどめ、後はセカンドチャンスにかけてもらう。

サバイバルファンドの安全装置

「サバイバルファンド」が機能し始めると、銀行は延滞債権と引当金の二重苦から解放され、新規貸し出しに力を注げるようになる。不良債権の一掃こそ、産業再生の入り口です。
プロジェクトの善し悪しによって融資を決めるのが常識になれば、健康な体と優秀な頭脳を担保に、いくらでも再挑戦が可能になる。むしろ失敗はノウハウを蓄積し、成功の母となるでしょう。
そのためにも国は、個人の能力と意欲を引き出す支援策を惜しんではなりません。
ここで雇用促進にも若干触れておきたいと思います。
借金を大量に抱え込んでいるのは、ゼネコン、不動産、流通、ノンバンクの4業種。特にゼネコンは、構造不況業種と言われて久しい。ゼネコンの債権放棄の時、必ず「ゼネコンが倒産すれば、大量の失業者が出る」との口実が使われます。
しかし、はたして本当でしょうか?
建築・土木の現場で実際に働いているのは、注文を取ってくるゼネコンの社員ではなく、下請け業者です。ゼネコンが一社倒産しても、下請けは別のゼネコンから仕事を取ってくればいいだけ。あるいはもっと前向きに、高齢者向け住宅や都市緑化事業など専門に特化し、インターネットを使って自分で仕事を取ってくるという選択肢もある。
不動産にしても同じこと。もはや一社だけで物件開発し、販売まで手掛けるやり方は時代遅れだし、それだけの体力を持つ会社は少ない。
不動産の証券化が業界再編につながるはずです。
借金漬けのポンコツ企業を生かし続けるのは、穴の開いたバケツに水を注ぎ続けるようなもの。その分、他の新しい企業の登場を邪魔しているわけだから、大迷惑です。
これだけの大手術を行えば、一時的な失業者増や地価下落のリスクはあるでしょう。しかし、これからの雇用対策は、あくまで全産業をカバーし、雇用の流動性を高め、ニュービジネスの創業を促進するようなものでないと意味がないと思います。地価下落については、「サバイバルファンド」に、ちゃんと安全装置を備えるつもりです。
証券をいくつかの種類に分け、利益還元に優先順位をつけておくのです。たとえば、地価下落に連動して賃貸料収入が減り、ファンドの運用益がはじめの見込みより減ってしまったとします。その場合、優先順位に1位から10位まであるとすれば、1位から順に傾斜をつけて運用益を配分し、優先順位の低い8、9、10位あたりは配当をゼロにしてしまう。
このような危険なカードは、銀行に引き取らせる。もとはと言えば、自分で蒔いた種なのですから、当然でしょう。国は銀行の次に危険なカードを引き取ることにする。
その代わり、もし大きな利益が出たら、順位の低い方から高配当にする。国が得た利益は、国庫に還元する。「サバイバルファンド」によって、不良債権の処理、不動産の流動化がスピーディーに進めば、最終的に国が出した10兆円はお釣りがついて戻ってくる。
いっぽう1位から5位までの証券は、運用実績が下がってもそれなりの利回りを保証する。安全な投資ですから、機関投資家、さらに個人投資家が競って買い求めるようになるでしょう。
その一次売り上げは、サバイバルファンド機構に入る。5年後をめどに、「サバイバルファンド市場」が大きく育ち、最終的には国の手から離れるのが目標。国が最初の一押しだけして、あとはギアチェンジした「経済」が自分でペダルを漕ぎ、坂道をスイスイ登っていくのが理想です。
サバイバルファンド市場が活性化すれば、低金利と株安で行き場を失っていた資金がどんどん入り込んでくる。眠っていた1400兆円の個人資産が、一気に産業の血液となって回りはじめるのですから、相乗効果で資本市場全体が元気に目覚めるのではないでしょうか。
ところで、この仕掛けには、もう一つタネがあります。不良債権から分離した不動産が市場に出るようになれば、それを使って都市を蘇らせることができるのです。

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羽田空港国際化、24時間営業

サバイバルファンドが買い上げる土地には、証券化しても、さほど収益性の見込めないものが当然ある。バブルの地上げ後の虫食い地や、都市計画の遅れで、利用価値が低い地域です。
そうした土地を、都市基盤整備公団が集約・整形化、民間と協力し再開発を行う。国や自治体が、公共用地として使ってもいい。
日のあたらない場所が、一挙に住みよい住宅や、憩いある公園に生まれ変わる。ちょうどオセロのように、首都圏に集中するバブルの負の遺産が、都市再生へ向けた正の布石にひっくり返るのです。
たとえば、首都高速の慢性的な渋滞は、合流地点が狭くてボトルネック化しているからです。騒音のうるさい合流地点周辺の土地を公共投資で住宅地と等価交換、合流地点を2倍に拡げるのは、いいアイデアではないでしょうか。
年間の国の公共事業は、総額およそ10兆円。いまさら整備新幹線を延長したり、ムダなハコモノを増やすのは、ばかげています。そのうちせめて半分でも、大都市に集中的に投資すべきです。その方がはるかに経済全体(産業新生・雇用)に与える波及効果は大きいと思います。
羽田空港は国際化して、24時間オープン。首都高を8車線化、環状線は一方通行にすれば、家から羽田まで30分。仕事帰りに海外旅行へ直行できる。向こうで知り合った外国人家族が訪ねてきたら、東京を案内する。
いま夜の銀座は、社用族の接待も減り、客待ちのタクシーが列をなしている。それぐらいならいっそ車の乗り入れを全面的に禁止して、明治時代さながらのチンチン電車を復活させる。外国から来た友人は、「OH! FANTASTIC」とばかり、そのまま日本に定住してしまうかもしれない。
70兆円あれば、東京23区のすべての建物を建て直すことができるという調査報告がある。老朽化した建物のリニューアルこそ、最大の防災対策です。
企業と人がサバイバルし、都市がリバイバルするわれわれのプランを夢物語と受け流すのは、あなたの自由です。しかし、経済は夢がなければ前に進めない。夢をリアルにするのは、信用力です。
国債の格付け引き下げに象徴されるように、いま海外に対する日本の信用力がとめどなく落ちています。
本来は、銀行が自ら不良債権の全貌を明らかにし、処理へ向けた道筋を示すべきです。これ以上先送りするなら、それこそカルロス・ゴーンやグリーンスパン(米連邦準備制度理事会議長)を金融担当相に据えた徹底的な再検査も避けられないほどの瀬戸際です。
むろん一番信用を失っているのは政治だと、われわれは認識しています。
われわれは、「サバイバルファンド」にとどまらず、トータルな経済政策体系を網羅した、「サバイバルプラン」をすでに用意しているのです。近日中には、正式に発表できると思います。
3年前の「トータルプラン」で、ツールはほぼ網羅したつもりでしたが、先送りのツケで状況が大きく悪化したのを受け、各ツールをバージョンアップさせたのが、今回の「サバイバルプラン」です。
抜本的な不良債権処理のファイナルステージとして、不良債権の徹底的な実態解明、土地・債権流動化、金融再生、産業再生、都市再生、資産デフレ対策などの施策を包括的、かつ政治主導でスピーディーに進めなければいけません。今年度中に着手し、日本経済を自立回復軌道に乗せるまでのリミットは、3年間に区切っています。
われわれは恫喝や独善ではなく、論理によって人を動かし、改革に着手します。論理は力です。われわれは論理で戦います。

さあ、どうかあなたも、一歩前へ――。

衆議院議員 石原伸晃

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