メディアに掲載された石原伸晃関連記事を以下よりご覧頂けます。
若手有力代議士
ぶっちゃけ座談会
ポスト森
加藤紘一がいちばん遠い!?
週間朝日 2000年 9/1号

総選挙が終わってはや二ヶ月。自民党では若手議員たちが党改革を求めて結束を強め、民主党など野党も呼応する動きを見せ始めている。森政権はいつまでもつのか。二十一世紀の到来を前に、日本政治は変わるのか。与野党の若手有力代議士たちが本音をぶつけ合った。
―まず最初に、石原さんが代表世話人をしている「自民党の明日を創る会」をどう見ていますか?
枝野:僕の立場は複雑なんですよ。石原さんがやろうとしていることが完全に成功するなら、この国にとっていいことだから頑張ってもらいたいし、完全に失敗するなら、民主党のよさがますます際立って、これまたいいことなんです。ただ、中途半端に実現されたときが困る。世の中にとっては全然よくないのに、自民党だけは一見よくなったように見えかねない。
新進党の末期に似てきた自民党
野田:私は石原さんから声をかけていただいたんですが、「創る会」への参加は見送りました。あの会のなかにはメディアを通じて森総理の個人攻撃に終始する人もいますよね。自分の党の看板である総理に足りないところがあるなら、自分たちに何ができるのか考えるのが筋でしょう。そういう連帯感がなくて、ひたすら「上が悪いから」っていうのは違うんじやないかと思うんですよ。
石原:たしかにいろいろな人がいるけど、自民党的なものがいま否定されつつあるという危機感では一致してるんです。その危機認識が薄いんですよ、執行部は。一般の方からのメールを見ると、「自民党の明日なんかいらない。あなたたちは民主党の若い人たちと一緒に日本の政治を変えてくれ」っていう意見が庄働的に多いわけです。

達増:ぼくは、今の自民党や民主党を見ていて、新進党の末期にどこか似てるなと思って、ちょつと心配なんです。新進党の末期には、若手が一種の党内無党派層みたいになっちゃいましてね。反執行部、反小沢を言えばテレビにもバンパン出られるから、そういうノリでやっちやうとか。「創る会」も、自民党は変わらなきやダメなんだという意識を突き詰めていかないと、単なるポーズで終わる危険性があると思う。同じような問題は民主党にもあるんじやないですか。
枝野:う−ん、民主党の場合は、若手が執行部そのものっていう意識があるから、そこはだいぶ違うと思ってるんだけど。
一今後、森政権にはどういう姿勢で臨むのですか。
石原:是々非々(笑い)。というのは、私も反省してるんだけど、われわれの弱いところは、小渕さんが倒れたときに、まあナンバー2の森さんでいいんじやないかと思ったのよ、本当に。
枝野:フフフ。
自ら身を引けば歴史に残る総理
石原:サミットも総選挙もあるけど、まあこれは緊急避難だなと。で、森総理が誕生して、.五月にヨーロッパを訪問したらけっこう評判がよくて、「おお、意外にやるじやない」と思ったら、ポロポロいろんなことを言いだして。選挙に負けたときも「大健闘」ってことになったでしょ。われわれも本当はもっとあそこで文句言わなきゃいけなかったんだけど、できなかった。都合二回、失敗したわけですよ。そうすると、何か大きな政策的失敗でもないかぎり、「あんた降りろ」とは言いづらい。
野田:森総理は政策上の壊滅的なミスは犯してないのよ。そのご失言によつて党は壊滅的になってるんですけどね。(笑い)
石原:だから、枝野さんたちに内閣不信任案を出されると、「創る会」はどう対応すべきかでもめる。(笑い)
枝野:いやあ、本当に困りそうだから、やっぱり不信任案を出そうかなあと思ってるんですが。(笑い)
石原:困るからやめてくれって。(笑い)
枝野:「創る会」でひたすら森さんの個人攻撃をやってる人たちにはやっぱり踏み絵を踏ませたいですよ。「テレビであれだけカッコいいこと言っていながら、信任するんですか」って。
野田:うんうん、わかるわかる。(笑い)
達増:でも、民主党は、来年の参院選までは森さんのほうがいいんでしょ。
枝野:党利党略だけを考えたら、参院選まで森さんに頑張っていただきたいですが、それは日本にとって不幸だし、参院選まで森政権が続く可能性はほとんどない。自民党はそこまでばかじやないですよ。だったら早く倒しちゃつたほうがいい。次の人がポロを出すまで時間がかかるから。
野田:私の理想を言っていいですか。新年から省庁が再編されて、日本の政治が様変わりしますよね。そこで、キャビネットにも新総理のもとでオールスターを勢ぞろいさせて、国民を安心させたいと思うんです。たとえば石原金融再生委員長とか、そういうエース級を出して。森総理は、私たちにとっては大本命じやなかったわけですよね。暫定だから、みんな納得したんです。だから、この機会に総理みずからが「自分は二十一世紀までの橋渡しつつがなくさせていただいた」と言って後進に道を譲るのが理想的だと思う。それができれば歴史に名を残す名総理ですよ。私たらも総理に「国のことを考えましょうよ」「心機一転しましょうよ」って働きかけるべきなんです。「やめろ、やめろ」って言うと、かえって意固地になるじやない。
達増:それはとてもいい考えですね。一日も早くやるペきだ(笑い)。省庁再編では準備がすごく大切だと思うんですよ、人事間題とか。いまは役所が勝手にやってますけどね。これからの数ヶ月は、野党も含めて挙国一致的な体制を組むぐらいの気持ちで臨むべきなんですよ。
枝野:自民党のお二方はわかってて言えないのかもしれないけど、森さんが代わるかどうか以上に本質的な問題は、野中さんが外れるような改革ができるかどうかじやないんですか。
野田:週刊誌やスポーツ紙を見ると、野中幹事長がすごくカリスマ的なオヤジさまになってるけど、私が野中さんにシンパシーを感じるのは、あの自民党内にあって彼は夫婦別姓など民法改正の大賛成者なんですよ。政策的にこの人は変じやないと思うんです。なにか、みんながすごくつくりすぎてない、あの人のことを?
枝野:でも、それを利用してるわけでしょう。
野田:ああ、ご本人がね。(笑い)
有力な選択肢は田中真紀子擁立
枝野:個々の政策じゃないんですよ。つまり、「総理の首はまあいい。おれたちが陰でしっかり支えればいいんだ」という構造が問題なんです。それを変えない限り、だれが総理になつても、実際には幹事長や官房長官が権力を握っているように外からは見えて、そのこと自体が、日本の政治にとって不幸なんです
達増:総理が「これは党にお任せしているから」とか「党で協議中と聞いてるから」とかって言うのはまずいですよね。(笑い)
石原:でも、現に権力を持ってる人たちは、いかに二重構造で権力を維持していくか、ということしか考えてない。そこが今の自民党の最大の問題なんだ。
枝野:例の久世問題が表面化してテレビに出たとき、亀井さんから、「こんなこと問題視したら大臣をできるやつなんかいなくなる。おまえのとこだってそうだろ?」って言われたんですよ。

石原:亀井さんに?
枝野:うん。で、この発想がまさに、古い自民党的なるものの本質だと思ったわけです。久世さんほど大きなお金は絡まないにしても、政治家を長くやればやるほど、いろんな人間関係やしがらみができて、身動きがとれなくなるわけですよ。だから、われわれは二十年後に頑張ればいいんじやなくて、若くてしがらみがない今のうちにやらなきやいけない。しがらみがないからできることって、ものすごくたくさんあると思う。
一ポスト森はだれなんですか。加藤紘一さんですか
石原:いや、加藤さんはいちばん遠いでしょう。
野田:アッハハハハハ。
石原:きわめて自民党的な見地から言うと、河野洋平さんですよ。
野田:ただ、石原さんが例の会から総裁侯補になったらわかりませんよ。
石原:総裁選に河野さんしか出なかったら、われわれはやっぱり何かしなきやいけないでしょうねえ。田中真紀子さんも有力な選択肢です。会のなかには彼女に反発する人もいるけどね。おもしろいよ、わきをしっかり固めれば。
枝野:田中総理のほうがこっちはやりやすいな、石原総理よりは。(笑い)
野田:枝野さんと石原さんとは、九十九パーセント政策が一致するからね。(笑い)
石原:そう、そしたら大連立するもん。(笑い
枝野:あ、そうですね。石原総理だったら自民、民主で大連立してもいいか、つて言ったらまずいかな(笑い)。うちのほうは、あくまで民主党単独政権と言わないとね。(笑い)
達増:さつき枝野さんが、三十代の人は二十年後を待つんじやなくて今やらなきゃつておっしやいましたけど、まつたくそのとおりです。三十代の議員が今のうちに何をやるかが今日の座談会のテーマ。(笑い)
石原:もう私なんか若くないんですよ。
野田:私、来月、四十歳になるの。
石原:エッ、四十になっちゃうの?
野田:は−い。
達増:そちらはもう総理のほうを狙っていただいてですね。(笑い
石原:四人の中では、達増さんがいちばん若いんでしょ。
達増:三十六歳で枝野さんといっしょです。「今のうちに何か」のほう。
石原:もっと若い人がいるわけでしょう、今は。
枝野:だって、小渕優子さん、二十六じやない。

達増:二十代、ウジャウジャですから。
枝野:水島広子さんは三十二。
石原:民主党も今回の選挙で本当に変わったよね。これまではまだ旧社会党的な人や旧民社党的な人のカが強かったけど、今回の選挙で本当に若い政党になった。自民党に比べると、民主党議員の平均年齢は十五、六歳若いんじやないの。政党が若いっていうのは魅力だからね。
枝野:いまは政党の世代交代競争なんです。世代交代を早くできた政党が勝つ。民主党では二年後にまた代表選挙があります。そのときは、鳩山・菅世代に対して、われわれの世代がガチンコ勝負で勝てるような党にしたい。そのときにまた「鳩山じやなきや菅か」なんて言ってるようじや、うちの党はだめですよね。
石原:私は、民主党と自民党が一度大連合して山積する問題を片づけ、政界再編をする必要があると思う。そうしないと、今のこの非常にねじれた、どこの政党も単独で過半数を得ることができずに連立せざるをえないという状態をクリアにできない。政党にも耐用年数があるだろうし、やはりもう一度整理しないとね。このままでいいとはだれも思ってないわけだから。
世代交代競争で政党は強くなる
野田:でも、私は石原さんに自民党内で闘い続けてほしいから、マスコミが石原さんをあおってほしくないの。外に飛び出して文句を言っても自民党は変わらない。政治改革熱が高まった時期に先輩たちがカッコいいことを言って出ていったけど、しばらくしたら戻ってきたじやない。すごく優秀で良い人でも、やっぱり値打ちは下がったから。
達増:ただ、今回の総選挙で自民党が過半数割れして、単独で国民の信任を得られる政党がない時代に入ってしまつたわけです。これは日本の民主主義にとって不幸なことだと思うんですよ。やっぱり単独で過半数を得られるようなまともな政党をつくつていく努力を、議会人、政党人はしなきやいけない。
枝野:この七年余りの離合集散で国民の政治不信は高まつているから、次に政界が動くときは本当に結論を出さなきやいけません。いま自民党の若手が動いているのは、民主党が若手中心の流れを強烈に推し進めてきたからだと思うんです。逆に石原さんたちの運動が成果を上げれば上げるほど、今度はわれわれもそれに負けちゃいけないとなる。政党を出たり入ったりという再編より、そういう形でそれぞれの政党が強くなっていく可能性のほうが高いのかもしれませんね。
- 野田聖子(岐阜1区・当選2回
- 福岡県生まれ、上智大卒。帝国ホテル勤務、県議を経て、祖父の地盤を継ぎ当選。第1次小渕内閣の郵政相。37歳での入閣は戦後最年少。自民党国対副委員長。
- 枝野幸男(比例北関東ブロック、当選2回)
- 栃木県生まれ、東北大卒。弁護士。地盤は埼玉5区。33歳で旧民主党政調会長を務めるなど「政策新人類」として活躍。民主党政調会長代理。
- 達増拓也(岩手1区、当選1回)
- 岩手県生まれ、東大卒。外務省職員としてシンガポール大使館、官房総務課などに勤務後、新進党から当選。「小沢チルドレン」の一人。自由党副幹事長。
4氏ともホームページやEメールを積極的に活用している
構成 本誌・喜多克尚
