石原のぶてる's オピニオン・羅針盤(コンパス)
平成10年11月号
法案を作る立場でがんばらなければ
景気状況や国民生活を考えない案は呑めません
小渕新内閣経済再生への強い決意を表明
金融問題に明け暮れた第143回臨時国会が終了致しました。今国会では932日間の在任に及んだ橋本内閣の総辞職をうけて、衆参両院での首班指名選挙を経て、第84代小渕恵三新総理大臣が誕生しました。小渕総理は、経済再生に主観をおく組閣を行いました。所信表明演説でも、一両年のうちに日本の経済を回復軌道に乗せると述べ、内閣の命運をかけて景気回復に全力を尽くすと強い決意を表明しました。
政党の垣根を越えて
今回、私は自民党の若手実務者として、野党の実務者の議員と共に法案の作成にあたりました。双方の政策の共通点を見出して対応する姿勢を重視して作成いたしました。これまでは大蔵省との太いパイプを持った議員が、実権を握ってきたわけですが、市場の動きを全く無視した政策が提案される度に株価の下落を招くなど、却って逆効果になっていたのです。景気状況や国民生活を考えない案はやはり呑めないのです。そのため、連日、深夜や翌未明に及ぶ協議を続けました。金融問題を本当に危機と感じ、この危機を乗り切るために政党などという境界を越えて、最も良い法律案を作ろうという意志のもと、ねばり強く話し合ってきました。
官僚主導から政治主導へ
そもそも今国会は、参議院で与野党の勢力が逆転するという、これまで誰も経験したことのないものでした。国民の皆様からは、何故こんなに時間がかかるんだという批判も頂きました。しかし、官僚を排除し、政治主導の新しい政策立案プロセスを作り出すことが出来たのではないかと自負しています。ですから、どうか今回の民主主義のコストともいえる時間の消費を寛大に受け止めて頂きたいのです。
政治家が充分勉強して政策を作る
この他、今回の国会では、成人の日と体育の日をそれぞれ1月と10月の第2月曜日とする祝日法案。これによって、3連休を作って国民の皆様方に余暇を楽しんで頂き、更に消費が進むことによって景気を活性化していこうとする案や、今、中小企業の皆様が大変困っていらっしゃる、いわゆる金融機関の貸し渋り対策として地方の信用保証協会の保証枠を拡大する中小企業信用保険法案。あるいは、株価の乱高下を防ぐための、「空売り」を規制する金融システム改革法など、重要法案が成立しました。
私は今までどおり、そしてこれからも実務者として、政策新人類というお名前も頂戴したことですので、政治家が充分勉強をして、政策を作る本来の政治の姿を確立して行くために、「これからもしっかりと意見を述べ、そして、法案を作っていく」こういう立場でがんばっていかなければならないと考えております。
マスコミからの注目を受けて
今回の一連の金融問題にたずさわる間、私も随分マスコミの取材を受けたり、テレビに出演したり、そして、報道で取り上げて頂いたりしました。
法案成立の過程で、私や私と共に仕事をした仲間たちを語るに当たりキーワードとなったものがいくつかありました。その中のひとつに、“若手実務者”というものがあります。私も四十一歳になりまして、いつまで若手かという問題もありますが、実務者ということが取り沙汰されたことはとても有難く思っています。例えば、国対政治から「実務者政治」への転換(九月十九日 日経新聞)であるとか、「金融再生国会」をリードしたのは、与野党を越えた“実務派政治家”だった(十月十五日 同紙)とのご理解を頂き、核心のところは実務者たちのレベルの協議で決まったといえる(九月二十二日 朝日新聞)と評され、さらには、一時消えかかった政治主導路線は、それなりの居場所を得た(十月十五日 日経新聞)とまで語って頂きました。時間がかかり過ぎるなどの批判も多かった中で、がんばってきた努力が報われた感じです。
そして、この度、とても面白いニックネームを頂戴しました。「政策新人類」なるものがそれです。どなたが言い始められたのかわかりませんが、よく見ていて下さった結果のお褒めの言葉と理解しています。他にも、「ちびっ子ギャング」(九月二十日 東京新聞)とか、新人類議員集合、全員がスマートでハンサム(七月四日 夕刊フジ)というような照れ臭いような笑ってしまうような、明るい評価を頂いています。
また、連日連夜ひたすら熱心な議論を続け、先輩議員からは、「青臭い。まとまるものもまとまらない。」との指摘を受けているなどとも言われていますが、政治主導で政策が立案される初めてのケース(七月九日 夕刊フジ)であるのが事実で、そのために文字通り寝る間も惜しんできたのです。
若手実務者、もしくは政策新人類が台頭してきたという表現も多くして頂きました。(九月十八日 朝日新聞・アエラ 十月十二日号・十月十五日 毎日新聞など)そして、やたらと名を轟かせるだけでなく、表裏のない議論を進めていくうちに党派の垣根を越えて信頼関係も芽生えたようだ。(九月二十日 東京新聞)ということも見て頂けたようですし、複雑でテンポの速い金融の動きに対応できる能力の持ち主は、地道な勉強を重ね、いち早く金融問題に精通した彼ら以外に見あたらなかった。(十月十五日 毎日新聞)とまで評価していただいています。
本当に分かっている人が権限と責任を持ってやらなくては。(古川元久衆議院議員・民主党・談 八月二十九日 週間東洋経済)という、実は当たり前のことなのに、これまでのシステム上、行われていなかったことを多くの国民の皆様にご納得頂けたことと思います。
もちろん、それらの評価と共に当然のように反発というものがありました。「テレビなんかに出演して、先輩を先輩と思わないやつがいる」「野党案丸呑みなんて、政治じゃない。政権党の政策立案責任を放棄した罪は重い」その後の与野党協議からは、はずされた格好だ。(アエラ 十月十二日号)党内調整にも気を使わざるを得ない党幹部の考えをズバズバ批判するところがベテランには不快だったのかも知れない。自民党内では残る焦点の早期健全化の枠組みをめぐる与野党交渉から外す話まですすんでいる。(十月一日 朝日新聞)と報じられた通り、風当たりが厳しいのは事実です。
しかし、自民党の古い体質はもう変わらざるを得ない、今はその過渡期だと思っています。今後出て来る日米ガイドラインも年金問題も、今までの様な結論の先送りでは解決できない。政治家が勇気を持って決断しなければならないのです。
この度は国内のマスコミのみならず、海外からの取材、外国紙への報道もして頂き、国内とはまたひと味違ったストレートな表現、解説、評価にふれ勉強になりました。私も今までどおり、いつ、どこで、誰に報じられても恥じることのない誇りある活動をしていくことに改めて意を決しました。
